問題設定)
- 違うカードが6枚そろうと、稀少な商品がもらえる。
- 一定のお金を払ってカードを買う
ここでだまされるのは、1, 2枚のカードは簡単にそろう。たとえば、6種類のカードがあって、別々な6種類をそろえるとする。
1枚目は必ずそろう。2枚目は5/6の確率。3枚目は4/6の確率。と段々難しくなり、最後は1/6になる。
1枚目が6/10 = 0.6, 2枚目は 5/10 = 0.5, 3枚目は 4/10=0.4, 4枚目は 3/10=0.3, 5枚目は2/10 = 0.2, 6枚目は1/10 = 0.1 である。一度カードを引くと100円かかるとする。
システム作り)
これを理解した上で、2,000円相当の商品を与えることにする。まず166円投資して、2,000円に近づくのだから、1枚目は気軽にやる。4枚目ぐらいまでは、やるだろう。が、全員6枚目までやったとすると、平均で2,450円も払ってくれるのだから儲かる。確率の場合、大数の法則が成立するので、超能力がある人でもいないかぎり、必ず儲かる。
が話は、ここでは終わらない。
途中から難しさがわかって、もったいないと途中で断念する。すると賞品はその人には、絶対いかないので、さらに儲かる。どこまで頑張るかは分からない。早めに断念しようが、最後まで粘ろうが、勝つまでやる人が少なければ少ないほど、儲かることになる。
もうすこし厳しい例)
元のカードが10種類あって、そのうち6種類そろえようとすると、もっと大変である。
もとのカードが減らないので、分母がへらない。つまりそろっているのと、同じカードを再度引く可能性がどんどん上がるのにも注目したい。
もとのカードが減らないので、分母がへらない。つまりそろっているのと、同じカードを再度引く可能性がどんどん上がるのにも注目したい。
1枚目が6/10 = 0.6, 2枚目は 5/10 = 0.5, 3枚目は 4/10=0.4, 4枚目は 3/10=0.3, 5枚目は2/10 = 0.2, 6枚目は1/10 = 0.1 である。一度カードを引くと100円かかるとする。
- 投資する金額の期待値
- 1枚目に期待のカードをひく確率は、0.6 差分 167円 積算 167円
- 2枚目に期待のカードをひく確率は、0.5 差分 200円 積算 367円
- 3枚目に期待のカードをひく確率は、0.4 差分 250円 積算 617円
- 4枚目に期待のカードをひく確率は、0.3 差分 333円 積算 950円
- 5枚目に期待のカードをひく確率は、0.2 差分 500円 積算1,450円
- 6枚目に期待のカードをひく確率は、0.1 差分 1,000円 積算2,450円
システム作り)
これを理解した上で、2,000円相当の商品を与えることにする。まず166円投資して、2,000円に近づくのだから、1枚目は気軽にやる。4枚目ぐらいまでは、やるだろう。が、全員6枚目までやったとすると、平均で2,450円も払ってくれるのだから儲かる。確率の場合、大数の法則が成立するので、超能力がある人でもいないかぎり、必ず儲かる。
が話は、ここでは終わらない。
途中から難しさがわかって、もったいないと途中で断念する。すると賞品はその人には、絶対いかないので、さらに儲かる。どこまで頑張るかは分からない。早めに断念しようが、最後まで粘ろうが、勝つまでやる人が少なければ少ないほど、儲かることになる。
もっとヒドイ例)
ここからは仮想の世界になる。
上記は独立事象なので割と穏やかだが、複合事象になると、確率の積になり、ひどいことになる。
つまり、途中で違ったカードを引いた時点で、失格。最初から、やり直しとするのである。
上記同様、元のカードが10種類あって、そのうち6種類そろえることを考える。
1枚目が6/10 = 0.6, 2枚目は 5/10 = 0.5, 3枚目は 4/10=0.4, 4枚目は 3/10=0.3, 5枚目は2/10 = 0.2, 6枚目は1/10 = 0.1 である。失敗は許されないので、確率は、これらの積で効いてくる。6枚目は、ほとんど外れのなかから、当たりを一発で引き当てないとならない。
上記は独立事象なので割と穏やかだが、複合事象になると、確率の積になり、ひどいことになる。
つまり、途中で違ったカードを引いた時点で、失格。最初から、やり直しとするのである。
上記同様、元のカードが10種類あって、そのうち6種類そろえることを考える。
1枚目が6/10 = 0.6, 2枚目は 5/10 = 0.5, 3枚目は 4/10=0.4, 4枚目は 3/10=0.3, 5枚目は2/10 = 0.2, 6枚目は1/10 = 0.1 である。失敗は許されないので、確率は、これらの積で効いてくる。6枚目は、ほとんど外れのなかから、当たりを一発で引き当てないとならない。
そこまで成功する確率と、それに必要な投資額の期待値、前回まで成功との差分を後ろに書く。先の例同様、一回引くのを100円と仮定する。N枚そろうまでに100円 x Nだけ投資しているのに注意する。今度は積算が先に算出されて、そこから差分を求めることになる。
先の例に比べると、桁違いに難しい。
- 投資する金額の期待値
- 1枚そろう確率は、0.6 積算 167円 差分 167円
- 2枚そろう確率は、0.3 積算 667円 差分 500円
- 3枚そろう確率は、0.12 積算 2,500円 差分 2,000円
- 4枚そろう確率は、0.036 積算 11,111円 差分 9,111円
- 5枚そろう確率は、0.0072 積算 69,444円 差分 60,333円
- 6枚そろう確率は、0.00072 積算 833,333円 差分 773,000円
仮に5枚までうまくいった、これは幸先がよいと、6枚目にトライすると、これが大変難しい。違ったカードを引いて失格になる。
また金をはらって、5枚目までいく。これまでお金をつぎこんだのだから、あと一枚なんだから、簡単だろうと、のめりこんでいく。。結果、大枚をつぎこむことになる。これがギャンブルにはまるシステムであろう。
最後のカードを引き当てるのは、10枚のカードから、ある1種類のカードを引けばよいので、1/10の確率ではあるが、必ず一発でそれが成功しないと、それまでの成功を全て失う。なので、1枚そろうカードを増やすことが、きわめて難しくなっていくわけである。
たかが、1回100円ということもあり、だまされることになる。連続成功の確率はきわめて低いので、成功するには、期待値で83万円もの大金を投入することになる。
システム作り)
これを理解した上で、80万円相当の商品を与えることにする。まず167円投資して、80万円に近づくのだから、1枚目は気軽にやる。4枚目ぐらいまでは、やるかもしれない。とにかく、1枚そろえるカードが増えると、急激に難しくなっていく。直感的には、先の例よりは、少しだけ難しいだろうと思って始めると罠にはまる。
気楽にはじめて、4枚目ぐらいまでいって、これはかなわんと止めてくれれば、金だけ貢いでくれるので、もうけが増える。全員6枚目が揃うまでやったとすると、平均で83万3千円近く払ってくれるのだから儲かる。が、おそらくは80万円もつぎ込む根性のある人はいないであろう、かといって1万円ほどつぎ込んだら抜けられない。みんな結構な大枚をはたいて途中で挫折していってくれれば儲かるわけである。
先の説明同様、大数の法則が成立するので、超能力がある人でもいないかぎり必ず儲かる。
が、これは上手にできたギャンブルではない、儲からないので、リピータがでないからである。損していても「成功したな。。つぎもやろう」くらいの雰囲気を与えるものの方がよいと思う。
ギャンブルというのは、巧妙につくれば、大変儲かるシステムだと思う。
いろいろなできごとも同じ)
後ろの例にあるように絶対に失敗するな。というのはきわめて難しいのである。
何度か試して、うまくいけばよいや、という前者のシステムとは、比べものにならないほど、難しい。
絶対に壊れないシステムや、
絶対に漏れない情報セキュリティを作ろうとすると大変なコストが掛かることになる。
そういうものが本当に必要なのか?
かけるコストと、失う価値を天秤に掛けないと、無駄な投資をすることになる。
また金をはらって、5枚目までいく。これまでお金をつぎこんだのだから、あと一枚なんだから、簡単だろうと、のめりこんでいく。。結果、大枚をつぎこむことになる。これがギャンブルにはまるシステムであろう。
最後のカードを引き当てるのは、10枚のカードから、ある1種類のカードを引けばよいので、1/10の確率ではあるが、必ず一発でそれが成功しないと、それまでの成功を全て失う。なので、1枚そろうカードを増やすことが、きわめて難しくなっていくわけである。
たかが、1回100円ということもあり、だまされることになる。連続成功の確率はきわめて低いので、成功するには、期待値で83万円もの大金を投入することになる。
システム作り)
これを理解した上で、80万円相当の商品を与えることにする。まず167円投資して、80万円に近づくのだから、1枚目は気軽にやる。4枚目ぐらいまでは、やるかもしれない。とにかく、1枚そろえるカードが増えると、急激に難しくなっていく。直感的には、先の例よりは、少しだけ難しいだろうと思って始めると罠にはまる。
気楽にはじめて、4枚目ぐらいまでいって、これはかなわんと止めてくれれば、金だけ貢いでくれるので、もうけが増える。全員6枚目が揃うまでやったとすると、平均で83万3千円近く払ってくれるのだから儲かる。が、おそらくは80万円もつぎ込む根性のある人はいないであろう、かといって1万円ほどつぎ込んだら抜けられない。みんな結構な大枚をはたいて途中で挫折していってくれれば儲かるわけである。
先の説明同様、大数の法則が成立するので、超能力がある人でもいないかぎり必ず儲かる。
が、これは上手にできたギャンブルではない、儲からないので、リピータがでないからである。損していても「成功したな。。つぎもやろう」くらいの雰囲気を与えるものの方がよいと思う。
ギャンブルというのは、巧妙につくれば、大変儲かるシステムだと思う。
いろいろなできごとも同じ)
後ろの例にあるように絶対に失敗するな。というのはきわめて難しいのである。
何度か試して、うまくいけばよいや、という前者のシステムとは、比べものにならないほど、難しい。
絶対に壊れないシステムや、
絶対に漏れない情報セキュリティを作ろうとすると大変なコストが掛かることになる。
そういうものが本当に必要なのか?
かけるコストと、失う価値を天秤に掛けないと、無駄な投資をすることになる。
株の儲け方の誤解)
株は、1%ずつ儲けて、それが何回も成功すれば、大金になるといった人がいた。これも同じ、損をせずに、儲かることだけが続く確率は、一気に大金を儲ける確率と同じだけ難しいと思う。
株は、1%ずつ儲けて、それが何回も成功すれば、大金になるといった人がいた。これも同じ、損をせずに、儲かることだけが続く確率は、一気に大金を儲ける確率と同じだけ難しいと思う。
おわりに)
後半の例は、悪質だが、前半の例ぐらいであれば、人間の心理をついているだけなので、サギではないのかもしれない。
しかし、麻薬のようになり、途中で抜けられない心理をつく点で悪質である。確率が分かっていれば、こういう誘惑には、ひっかからない。
そもそも、おいしい話には裏があると疑ってかかるのが、安全であろう。
後半の例は、悪質だが、前半の例ぐらいであれば、人間の心理をついているだけなので、サギではないのかもしれない。
しかし、麻薬のようになり、途中で抜けられない心理をつく点で悪質である。確率が分かっていれば、こういう誘惑には、ひっかからない。
そもそも、おいしい話には裏があると疑ってかかるのが、安全であろう。
いずれにしろ、顧客価値を生まない商売をしているようだと、その会社は、みんな愛想をつかして去っていくだろう。。