関連記事: IDF 2014 - 「Skylake」動作デモ公開、Broadwell後継として来年登場 - 基調講演レポート (マイナビニュース 塩田紳二)
Broadwellに関する記事: IDFでIntelが14nmプロセス世代の「Broadwell」を公開 (PCwatch 後藤弘茂のWeekly海外ニュース)
Broadwell 新PCへの期待)
Broadwell (14nm) - 商品名Core M利用の小型PCは、年末商戦にむけて10月から沢山でてくる。特に、小型化が進むことで、displayを取り外したり折りたたんだりするとtabletにもなる2 in 1を主流として売り込むことで、ARM社CPUが支配的なtablet市場にIntelが乗り込もうとしているように思う。
以下、IDF day2 11:00-12:00 Mega Session: PC Reinvention and Innovation
by Kirk Skaugen より
notePC用packageの比較:左が22nm Haswell、右が14nm Broadwell (Core M) |
上: 14nm Broadwellのマザーボード 下: 22nm Haswell利用のマザーボード これだけ小さくなる |
5年ぐらい前のlaptopPCと14nm Broadwell利用の2in1の比較 |
2014/10月から各社よりBroadwell利用のnotePC 特に2in1 PCが沢山でてくる。 Lenovoのものは5種類に変化 (Transform??) していた。 |
今年1月といわれていて立ちあげがかなり遅れた14nmプロセス技術の詳細は明かされていない。
冒頭であげたBroadwellに関する記事: IDFでIntelが14nmプロセス世代の「Broadwell」を公開に解説があるとおり、Intelの微細化の展望が明るいわけではない。これを以下で紹介する。
22nmから14nmに微細化すると、一辺が1/√2 になるので単純にはchip面積は1/2になる。以下、Intel講演をみてもIntelの14nmプロセスは、(他社と違い)前世代に比べ本当に面積が1/2になることを誇っている。
トランジスタ性能をあげ(電源電圧を落として電力を下げつつ性能を維持し)、リーク(漏れ電流)を減らすなどの工夫をいれても、電力は70% にしかならない。
もともとCMOSにはスケーリング則があり、微細化すると電圧も対応して下げられたので電力密度は上がらず、消費電力が大きく下がり、性能も上がってきた。ところが電圧は無限に下げられるわけでもないし、配線も細さに限界があるので、最近はこれが行き詰まっている。
参考資料: 「スケーリング則の破綻と新材料・プロセスへの期待」
つまりCPUとして同じ電力消費にすると、chip面積あたりの発熱量が0.7/0.5=1.4倍になってしまって放熱しきれなくなる。世の中desktopから小型化に向かっているので、大きなフィンをつけたり、水冷とかは避けたい。
製造コストはチップ面積に比例するので、チップ面積を大きくするためには、値段アップのための顧客価値が必要になる。従来は、これを使いcacheサイズを増やして性能を上げるとか、GPUをつけてグラフィック性能を上げるとかで対応してきた。が、どうもcacheサイズもそろそろ必要十分になりつつある模様。
この証拠にハイパフォーマンス系のXeon は、最近発表した14nm版では12コアから18コアへと増やしたが、cache量やトランジスタ数はさほど増えていない。
18コア版Haswell-Eファミリに隠されたIntel CPU進化のトレンド (同じくPCwatch 後藤弘茂のWeekly海外ニュース)
まとめると、微細化により低電力化しても、に熱密度が上がるジレンマがあるので、cacheなどを巨大化してきたが、それが行き止まれば、CPUは次第にローパワーへと向かわざるを得ない。最近のIntelが、利益率の良いPC用CPUと共食いするのを知りながら、安価なTablet/Mobile向けCPUに向かっている背景には、こういう事情があるのだろう。
IntelもdesktopからnotePCへ薄型のUltrabook、そしてtablet共用の2in1へと向かい、ARMとの大競争が始まるのであろう。
Intelの14nmプロセスの講演)
IDF2014では、プロセスデバイスの研究開発のトップ Mark Borh, Intel Senior Fellowによる14nmプロセスの講演があった。( 基礎技術の発表はIDFでも最近かなり減っている。)
いつものように自信満々で歯切れのよい発表から...
Mark Borh |
Markは、2011年にIntel初の3Dトランジスタ Trigate 22nmで強気の発表(以下に記載) をしている。
2011年5月16日月曜日: Intelの立体トランジスタ
Intelの微細化は順調に進んでいる |
自分のサイズいりのスケールで22nmの大きさを比較。 笑いをとってツカミはバッチリ |
ゲート(青い部分)の容量を減らして性能と電力を稼ぐ為に、 14nm (右)ではフィンを高くしている。このため従来は3 legだった Trも2 legで済む。 |
配線層も順調に微細化 |
SRAMサイズも順調に微細化 |
微細化を評価するためには、ゲートピッチ x 配線ピッチで 公正に(つまり実際に面積縮小に効く具合で) 比較すべきだという主張 |
他社は3D化で足踏みがある(説明上インチキをしている)が Intelは着実に微細化(Gate Pitch x Metal Pitch)している |
トランジスタ辺りのコストは着実に下がっている |
22nmから14nmになって、各ターゲット向けのどれにおいても 1.6倍ペースで低電力性(or性能)が向上 |