- 家庭でのビデオ編集黎明期: 1987頃〜 : 会社の寮の同室者がSonyから出た初期の8mmカムコーダ(当時30万円くらいした)を購入。編集したくなったので、私は、やはり当時発売になった、ED Beta 3000を購入(これも30万円くらいした)。そして、旅行、社内行事、仲間とのスキー、ダイビング等を撮影・編集。寮祭向けにドラマ等も撮影・編集した。ED Betaは家庭用としては画期的!なフライングイレースヘッドを搭載しており、再生ポーズのまま録画ポーズに移行でき、画像乱れなく先行録画画像の途中位置から映像を重ね書きできた。ジョグ、シャトルダイヤルも搭載していた。EDベータを録画機とし、映像をうしろに書き足していく形で編集を行った。EDベータでも、挿入した画像の後がわは映像がめちゃくちゃに乱れるので、編集は、前から少し長めに録画しては、録画側のEDベータを再生にしてフレーム位置を確認しcutしたい位置(out 位置)でポーズして、そのままEDベータを録画状態にいれて(これができるのがフライングイレースヘッドの画期的だったところ!!)止めて、再生側の映像を、書き足したいところ(in位置)の少し前から流しておいてin位置が来たらEDベータの録画静止を解除して映像を繋げていくという方式で行った。ビデオソースとしては、Sonyの8mmカムコーダ以外に、victorのSVHSデッキも用いた。こちらも、ジョグ、シャトルはついているものの、完全におまけで、とても編集に使えるようなものではなかった。同室者は凝り性で、sonyから出ていた独立box型のビデオミキサーや、ビデオテロッパー、audio ミキサーも購入した。特殊音作成には、シンセサイザーキーボードとsonyのマルチトラックのaudio recorderを用いた。こういうリニア編集では、ミキサーやテロッパを録画にあわせて操作しなければならず、うしろに重ね描きして継ぎ足していく方式なので、あとから前のほうを直すわけにもいかず骨の折れる編集であった。EDベータは、control-Lという制御インターフェースをサポートしておりEDベータ間での同期スタートもサポートしていたが、結局エフェクトやタイトルの操作はモニターを見ながらタイミングを合わせてやらなければならず、手間がかかることには大して変わらないと思われた。ビデオ編集を学ぶために、プロ機材を用いたA/Bロールによる編集の有料講習にも通った。当時でも編集用にプロ機材と場所を時間貸しするスタジオがあったが、編集にかかる時間を考えると、とても使う気にはならなかった。
- ノンリニア編集黎明期 1994頃:i486のIBM PCのwindows 3.1を使用しており、これむけに発売されたmovie machineという初期のノンリニア編集ボードを10万円強で購入。編集ソフトはAdobe Premier Liteが添付。ビデオ撮影はパスポートサイズになったSony handy cam の8mmビデオを使用。メモリが16MB, Harddiskが300MB程度しかない時代であり、ソフトの応答性も悪く、ほとんど編集する気にはなれなかった。movie machineではアナログAVをmotion jpegに変換して取り込んでおり(zoranというcodec chipを使用していた)、圧縮率の低いmotion jpegでは高画質のビデオを小容量のHDDやwork用のメモリに納めるのは効率が悪いと思われる。そもそも編集用のタイムラインに表示されるサムネイルをスクロールするだけで大変なディレイがあり、ストレスがたまる環境であった。生成できるビデオもきわめて低画質であった。
- ノンリニア編集革新期 2001年頃〜: カノープス(現トムソン・カノープス)から、DV Storm-RTというリアルタイムノンリニア編集ボードとStormEditというソフトのセットが、定価19万円くらいで発売された。当時のPCは、Pentium-II (800MHzくらかな)でハードディスクも20GB程度になっていた。DV Storm-RTボードは、DVコーディック処理(motion J-PEG)を行うだけであり、編集自体にはCPUの急激な高速化とMMXなどメディア対応機能を活用していた。これにより基本エフェクトであれば、リアルタイム(効果を設定したその場)で効果を確認できる、リアルタイム編集機能を民生品で初めて実現した画期的な製品であった。それまでの製品は、飛び飛びの映像で効果をチェックできた程度で、最終品質で確認するには見たい区間を指定して、レンダリングという処理をかけないとならなかった。当時、10万円近くしたAdobe Premier 6.x のプラグインも用意され、Premierを使うことでかなり高度な編集も可能であった。しかし当時のPCの性能では、Premierは立ち上がりに時間がかかり、手軽にできるというものではなかった。またこれも10万円位したAdobe After Effectで、プロのようなクリップの合成もできた。Premierなどにより、ノンリニア編集の基本的手法はこの時期にほぼ確立していた。
ただし、ビデオの撮影には、DV tapeによるカムコーダ (ソニーのHandy camとパナの3CCDのカムコーダ)を利用しており、テープからPCへのデータ転送には、撮影した時間と同じだけ時間がかかるので、DV編集は、やはり気合いを入れないと出来ない作業であった。シーン分割しながらのPCへのビデオ取り込みは途中からサポートされた。また、当時普及しはじめた、iTunesにため込んだmp3などの音楽ファイルを音楽トラックに取り込むことはできず。ツールでwavフォーマットに変換しなければならず面倒であった。しかし、Storm Bayという、アナログ出力用のBayや、PC画面では確認しきれない色や投影範囲などを確認するために、小型のテレビを購入してビデオモニタにしたり、ビデオ編集用の雑誌 パソビ (「パソコンでビデオ編集」 - 当時、季刊から定期発行に写りつつあった。まさに、アーリーアダプタがビデオ編集に乗り出していた時期である。)やHiVi等の雑誌、映像技術という専門誌(当時会社の図書館にあった)や、映画編集の手引き書を3冊ほど買ったりしてビデオ編集のノウハウをため込んだ時期であった。イマジナリラインを越えてはならないとか、時系列の操作、効果的なカット割りなどの映像テクニックがあった。映像テクニックはとても面白く、その観点をもちつつ、プロの編集した映画、TVドラマを見るのは楽しいものである。 - 中断期: 2005年〜2009年 仕事が忙しくなったり、興味深い製品が出てこなかったりして、ビデオ編集をほとんど行わなかった。上記3でため込んだ、編集知識も大分失われたと思う。この間に、カムコーダの書き込み媒体はDV tapeからDVD-R、Harddisk、Flash memory書き込みと変革していったと思う。
- 普及期: 2010年夏〜: 海外旅行時にふと成田の免税店でみた小型カムコーダに触発され、SonyのHarddiskカムコーダ(HDR-XR350: 2010/9/12の記事)を購入。再びビデオ編集に目覚める。カムコーダも小型化し、なによりtapeと違って撮影時の起動がきわめて高速化して使いやすい。PCへの転送もカムコーダのHDDからUSB2による転送になって高速化しており、Sonyからも便利な転送ツール(PMB)が付属ソフトとして提供されている。ノンリニア編集が普及期に入ったことを感じる。2010/9/12の記事で触れたように、編集ソフトの競争も激化しつつあり、大分廉価になってきている。google picasaなどもあり、編集した結果もwebで仲間に限定公開でき、周辺環境を含めて充実してきている。編集ソフトから直にYouTubeへも投稿ができる。ビデオの格納方式も、フレーム間相関(motion vector)を用いたAVCHD (H.264)に変わってきており、圧縮率が飛躍的に向上し、PCのHDDの大容量化(〜2TB)、メモリの大容量化(〜4GB)と相まって、ビデオ編集の操作性が画期的に向上している。音楽トラックへもiTunesのm4a (mpeg4 audio)やAACを直接取り込めるようになり、使い勝手が向上している。
- 今後、3D TVや対応したカムコーダも登場しており、対応した編集ソフトやYouTube, Picasa等の環境がどうなっていくのか興味を感じる。
16年間のご愛読ありがとうございました。
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以前よりお伝えしていたように、本日3月31日をもってTechCrunch
Japanは記事の更新を停止します。これまで16年という長い間ご愛読いただいた読者のみなさまに感謝をお伝えしたいと思います。
今後、TechCrunch… Read More
2 年前