http://s.nikkei.com/PRAQgY に「偏見から守り続けた母の愛 天才少年一家の軌跡」 (日経新聞)(1/3ページ)2012/6/21 7:00 という記事があります。
卒業シーズンの米国で、メディアの注目を一身に受けているのがシカゴ大大学院を卒業した日系人医学生、矢野祥さん(21、以下敬称略)だ。9歳で大学生となって以来、天才と呼ばれ続けてきたが「IQ200超」の異能に対する社会のまなざしは好意的なものばかりではなかった。天才一家の暮らしは“偏見”との戦いの日々でもあった。
6月9日、祥はシカゴ大学開校以来の最年少で医学部を卒業した。9歳で地元のロヨラ大学に入学、12歳で卒業、同年にシカゴ大大学院に進み18歳で生物学博士号を取得した。シカゴ大学によれば「祥はおそらく世界で最年少の生物学と医学のダブル博士号の保持者」だ。
いろいろな議論がされています。
- 立派ですねと感じて通りすごしてしまう
- 日本は、こういう子は育たないのか。教育の問題なのか。
などが普通の反応だと思いますが、私は別な感じを持ちました。
肩書きに過ぎないのでは)
そもそも、年少で博士を取ったから偉いとか、ノーベル賞をとったから偉いとか、そういう価値軸で評価するのが正しいのでしょうか。
世の為になることとか、誰も出来ないことだとか、自分が信念をもってやれることを、やりさえすれば良くて、年齢や性別や人種など、どうでもよいことだと思います。
こういう例がいいのかもしれません。日本では有名私立中学とか一流大学に入ったと大騒ぎをする。でも、それはスタートラインにたっただけであり、なにも成果は上げていない。
本当に重要なのは、成果を上げたときで、例えば、誰も実現できなかった、青色発光ダイオードと青色レーザを発明した中村修二先生とか。。彼は工学者なのでノーベル賞はもらえないでしょうが、誰もできないと思っていたGaNを選択し、無名の日亜化学で一人奮闘し、この偉業を達成し、世界的に有名になりました。http://bit.ly/O77YEo 現状のこの天才少年よりも、ずっと偉いと思います。白色LEDは、青色発光ダイオードと蛍光塗料を通して作った黄色を混ぜて作っています。高輝度青色LEDの発明も中村先生の発明であり、現在の日本は彼に頼る部分が大きいでしょう。
以下に書いたように米国こそ学歴社会なので、博士を持っていれば初任給も良いです。
2012年6月4日月曜日: 米国こそ学歴社会である
ですが、あくまで中身が伴っている条件があり、中身が給与についていかなければ減給されるか、解雇されます。肩書きは、単なる通過点にしか過ぎません。
インテル社では、名刺に肩書きがないとのことです。それが、実力を付ける近道だと知っているからかも知れません。
日本にはびこる肩書き・権威主義)
Stanford大でProf. Bill Dallyという有名な先生がいます。networkとか並列処理でいろいろ有名な論文を書いていますが、日本人の研究者に言わせると、すぐにBill Dallyは飛び級して何歳で博士をとったという評価をします。Prof. Mendel Rosenblumという先生も、日本人に言わせると、VMwareという会社を創業したと。
中身じゃなくて、タイトルみたいなものばかりを並べてたてて、何を測りたいのでしょうか。。
スタート点に建ったばかりで重圧を与えて何になるのか)
別なとらえ方をすると、よく日本のオリンピック代表が重圧で成果を出せないというのに似た感じもします。まだ成果があがっていない人に重圧を掛ける傾向があるのではないのでしょうか。褒めるべきは、あげた成果であって、期待に対して褒めるのは、時期尚早なように思います。
よい子を育てるには)
普通の議論に戻って、よい子を育てるにはも少し考えてみたい。
親の役割も大事だと思います。このお母さんはクリエイティブなものにふれさせて、考えさせています。今の世の中、ゲームやYouTubeなど子供が、のめり込みそうな誘惑にあふれているので、うまくコントロールしてそれを与えないといけないのではと思います。
また、親が過剰に干渉しても子供をダメにすると思います。過保護ですね。東京での中学受験では、親が必死で宿題をやってあげたり、試験会場では両親付添で、問題が壁に張り出されると、父親が必死で解いたり。。それほど干渉したら、子供の自主性は育たないと思います。日本の中学受験、大学受験は相当の知識量が必要ですが、それが、優秀な子供の能力を平凡なものにしてしまっているのではとも思えています。(検証していませんが。。)
親が中学高校の宿題をチェックしていました。ところが、親が忙しくなって、放っておくようになると、子供は自分で予定を立ててやっています。それで良いのではないのでしょうか。自己管理できるよう育てることが、才能を伸ばすことにつながるのだと思います。
親は興味を持ちそうなネタをときどき振ってあげたり、その程度で良いかと思っています。
日本人や中国人、インド人などアジア系の人は、家族が親子の縦のつながりで、親が子供に過保護と言わんばかりに面倒を焼きますが、それでは、自分で問題を探し、自分で疑問に思い、自分で解決する、クリエイティブな人間は育たないと思います。
2011年11月24日木曜日: 老害、エセエリートの害、本当のエリートとは
に書きました。