- Tri Gate Trによる、3次元のFDトランジスタの技術
- 低電力回路技術
- Near Thresholdの回路技術と、それを実現するLSI設計技術、製造管理(LSIキャラクタライズ)技術
- Onchip のスイッチングレギュレータの回路と、オンチップの高いQ値を持つインダクタ製造技術(材料技術)
- Copy Exactlyなどをはじめとする、生産管理技術。ラインの垂直立ち上げノウハウ
近々、14nmの450mmウエハの生産ラインを導入する可能性もある。
以下に計算したが、歩留まり(良品率)90%の仮定で、月100万個生産するとき、
90nmで10mm角のチップだとすると、200mmウェハの90nmプロセスでは、ウェハを7,077枚流す必要があった。2007年ごろの初期のiPhone向けのSoCなら、この程度の大きさだったであろう。http://toucharcade.com/?p=192 には2007年発売の初代iPhone http://bit.ly/SvqvYd のCPUがSamsungの420MHz動作のARM1176JZ-Sであったと書かれており、代表的なプロセスとして130nmプロセスでの性能があげられている。当時は、まだ、AxのようなSoCではなく、CPUは別chipだったようである。
ところが、これを450mmウエハの14nmプロセスでつくると、ウエハ枚数はたったの34枚で終わり。
ある程度大きな半導体工場では、月産1万枚以上のウェハを流せるので、チップとして考えると相当な生産能力になる。
ちなみに、Apple史上最大の売り上げと言われる、iPad miniは一週間に300万台売り上げた。つまり、90nmで10mm角のチップが各iPad miniに一つ入っていたとしても、14nmの450mmウェハなら、100枚ちょっと流せば所要が実現してしまう。もしチップサイズがこの程度のものだとすれば、iPad miniの初期の売り上げが100週間=25ヶ月=2年つづいても、そのチップを作るのに、工場を1ヶ月フル稼働すればよいことになる。別な言い方をすると、この工場の生産能力を埋めるには、iPad miniの初期の売り上げを維持し続ける製品が25製品必要だということになる。
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1208/03/news028.html に、2012年の4-6月 四半期の各社のtabletの売り上げが出ている。以下に引用する。
首位のAppleで、四半期に1,700万台。2位のSamsungで239万台である。一位のAppleでも、月にならすと、月566万台。仮に先ほどのSoCチップの計算だとすると、14nmの450mmウェハにして、ウェハが月192枚になる。工場はとても埋まらない。2位以下全部会わせた2,500万台と考えても、まだまだ足らない。SoCチップが複雑で大きくなることに期待するか、需要が増えることに期待しないとならない。
しかし、世界シェア1%もない日本のメーカが世界シェア68%越えのAppleと戦うのは、コストや設計投資的には圧倒的に不利だと思う。月産100万台あっても、強い技術を持つ、大手半導体Fabから有利な条件を引き出すのは難しいであろう。技術優位などで、勝算が相当あるのでなければ、手を出しても負けるだけのように思う。
日本の半導体撤退の理由)
日本の多くの半導体会社で、Flashメモリという売れ筋を持つ東芝以外は、2000年過ぎの65nm世代の頃から最先端半導体の設備投資を諦めはじめたのは、ラインが埋まる製品のメドが立たないという理由がある。これが、解決しなければ、いくら公金を投入しようが日本の半導体製造業は復活のしようがない。昔の半導体メーカが設計の方向に走る理由がここにある。
固定費と変動費)
半導体の設計投資、設備投資、ウエハ一枚の材料費を後ほど比較してみたいが、材料費や製造変動費の占める割合は極めて小さい。出版とかと同じく、完全な設備産業である。
進歩した半導体技術を持つ工場が、生産コストも下がり、生産能力も高くなり、世界を席巻してしまう。