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60万アクセスまでの経過

2009年12月に始めた本blog。2011年7月ごろに10万アクセスを達成し、2011年12月13日には15万アクセスを達成。
その後、私も更新しておらず、アクセスは少し減りましたが、3月1日には18万アクセス。2012/4/18に20万アクセス、2012/8/21に25万アクセス、2013/1/18に30万アクセス、2013/12/17に40万アクセスを達成しました。しばらく見ていなかったら、2015/5/1に50万2584アクセスになっていました。またまた、しばらく更新しないうちに、2017/6/11に60万7197アクセスになっていました。2018/7/7 .. おお七夕 .. には63万0656アクセスになっていました。久しぶりに更新しました。
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2015年9月1日火曜日

米国Stanford大で博士をとるには

米国の博士審査について興味ある方が多いと思うのでまとめました。

まず初めに注意です。以下は、米国というよりもStanford大の審査基準です。
さらにStanfordでも学科によって多少違うようです。

Stanford大Computer Scienceの博士課程規定は http://stanford.io/1C4Vhhr で公開されています。順に書きます。

応募)
まず、30倍とも50倍ともいわれる博士課程の応募競争に勝ち残ります。通常は、修士を撮った人間が入ってきますが、米国の大学は実力本位なので、きっと例外規定(たとえば、教授による強い推薦による、高校生がいきなり博士課程とか...)があると思います。

 http://cs.stanford.edu/education/admissions に2016年度学生(学年は秋始まり)の応募規定があります。 2015/12/8締め切りです。
必要書類は、3通の推薦状、GREのスコア、TOEFLスコア(英語Non-native)、成績証明書、申請料 $125 など...

博士取得までの教育)

Stanford大学は1年4学期のQuater制です。ただし、夏学期は授業は少なく、学部生にとっては、夏休みで企業インターンなどをする時期になります。教授達も授業をしない=無給 らしく、集中的に研究にとりくんだり、企業にいってアドバイザをしたりと、通常と違った活動ができる時期になります。そして、秋学期つまり米国での新学年は10月に始まります。

以下、Stanford大で博士を取得するまでの流れを書きます。

1. CS300 seminar: 審査に勝ち残った応募者がStanford大を選ぶ直前での面接です。むしろ応募者がStanford大のComputer Scienceを査定するようにも思えます。Faculty(大学教官)たちから45分ずつ研究内容を聞きます。
実は、FacultyのかわりにPhD学生が担当するところも多く、学生とのマッチング面接の位置づけもありそうです。

2. 博士1年目: Research Rotation Program : 1 quarter がわりで3〜4研究室を回り、配属研究室を決めます。1つめで決める人もいれば、4つでも決まらず2年目に突入する学生もい真下。

3. Courses : 学位取得には135単位が必要です。大体1 Quaterに 9-10単位を取ります。大学院向けコースは学外講師の講演(オムニバス)のものも多いが、あえて、課題が多い学部生向けをとる学生も多いです。(卒業しても実力本位なので実力をつけたいのだろう...)
オムニバス形式の授業で、かつ、最終課題がレポートであっても、チームを作って良いからテーマを選んでまとめろ。というものもあり、それを厳しい教授が審査するということで、学生は必至で論文を沢山読みレポートを書いています。教授によっては、「研究がすすまないからいい加減にしろ!」「どうせ研究が進まないなら、もっと沢山講義を採れ」とコメントしたりするのですが、学生はGPA(成績平均点=レジメに書く、低いと就職に差し支える)を落としたくないので、1 Quater 1教科にする傾向があります。

4. Breadth Requirements
Area A: Mathematical and Theoretical Foundations: 教養として、これは取りなさいという学科の指示のようです。

6. Qualifying Examination : いわゆるQauls : PhD 2年(3年以降で受ける学生もいるようだが) の春に行われる学科試験。落ちたという話しは聞かないが、1ヶ月以上前から学生は必至になって勉強していてその学生の研究が止まる。

試験内容は分野によって異なる。今年のCSのQualsは、
 http://stanford.io/1C4Wl4W 当研究室はSystem系なので、http://stanford.io/1Pt7Vg9 が内容。以下に引用。
 • Architecture: Christos Kozyrakis
 • Compilers: Monica Lam
 • Databases: Hector Garcia-Molina
 • Graphics: Pat Hanrahan
 • Human Computer Interaction: James Landay
 • Networking: Nick McKeown
 • Operating Systems: Dawson Engler
 • Programming Languages: John Mitchell
 • Security: Dan Boneh


注)Hector Grcia-MolinaはPage Rankを考案し、Larry Page (現Google CEO)とGoogleを創業者したSergey Brin (wikipedia:セルゲイブリン: http://bit.ly/1KAnTGW ) の博士課程の指導教官であり、DatabaseやSNSの大御所。Monica Lamは、コンパイラの教科書Dragon bookの共著者でもある有名研究者であるし、Nick McKeownはOpen Flowを提案したNetworkの有名人。その他、Stanfordの名だたる教授達が名を連ねている。

8. Reading Committee and Thesis Proposal: 
Reading Committeeがいわゆる博士論文審査委員会

 日本(たとえば東大では、 http://bit.ly/1C4WNjq が規定、http://bit.ly/1C4WNQv が概要まとめ)では、論文を作成してから予備審査になるが、Stanfordの場合、論文骨子をThesis Proposalで提案して審査委員会に了承されないと、論文作成に入れない。公開で行われる。

 過去あったものは、主査が提言して、i.学生のスライド説明(割り込んで質疑)、ii.審査委員で議論、iii.学生を呼んで議論・結果説明。という流れ。

 Theis ProposalはPhD取得予定の最低でも9ヶ月以上前、そしてQualsよりも1年以上あとに行うことが求められている。

 つまり10月入学, Rotation, Quals(翌翌4月), 1年(翌4月) にProposal, 博士取得(9ヶ月後) となるので、コースドクターは、2.5年+9ヶ月は最低でもかかる。rotationをはしょっても、Qualsに必要な学科の履修を前倒しにできるかは不明。そもそも135単位の卒業単位はかなりきついと思う。

8.1 Regulations Concerning Composition of Reading Committee
 CSの場合、主査は指導教官でよく、それ以外に2名いれば良い。
 おそらく主査がアドバイスして他のメンバーを決めている。うちでは過去4人のProposalを見てきたが、Reading Committeeは一人はその分野の専門。そして、もう一人は、多少異分野から持ってくる。このため、過去3回は論文の共著者だったり共同研究者というか、一緒に定例会議にでていたMendel Rosemblumが入ったこともあった。

9. University Oral Examination: 日本でいう本審査。Defenseとも言う。
 公開で行われ、学生達も集まり質問がでる。最大延長3時間。
 Chairは審査委員会(Reading Committee)の推薦も踏まえ学生が決める。その他規定は、冒頭URLに書かれている。
 通常、修正条件付きになるので、この後、学生が書き直し、審査委員会の承認を得る。

10. Dissertation: 学位が授与される
 学位はどのQuaterでも(また途中でも)授与されるので、卒業時期はばらばら。
 卒業後の最初のCommencement - 2015年は明日6/14(日)に開催に招待され、卒業者名簿にも掲載される。
Electrical Engineering (EE)の規定は、http://stanford.io/1IRTIv0
 こちらも審査委員会は指導教官を含む3名。

8.1の身内2名が審査委員というのは甘いようにも思うが、意味のある論文をという方針なのだと思う。学会発表も1件でPhDを取っている学生も結構いるが、逆に、トップクラスの学会で、Best Paperを取っている学生も多い。

私の所属する研究室の関連研究では、PhD取得者4名のうち3名は、Best paper 
(FAST2014, ATC'14, USENIX '13)を取得している。ま、教授の七光りかもしれないが...


論文や博士論文はwiki : http://bit.ly/1CxlsgG にあがっている。USENIXのものは http://bit.ly/1b8mxhv 。 

2014年6月16日月曜日

Stanford大の第123回Commencement(卒業式)に行ってきた


6/15(日)に行われたStanford大の第123回、Commencement(卒業式)を見学してきた。

プログラム: 左が全体式典、右がCSの式典
wiki: http://ja.wikipedia.org/wiki/スタンフォード大学 にあるように初代学長David Starr Jordanが就任したのが、1891年で、それに123を足すと、2014年になる。つまり、毎年欠かさず、卒業式が行われている。。皆、割と任期が長いので、2000年から学長をやっているJohn Hennessyで10代目である。。

  1. 9:30AM- Stanford Football Studiumで行われた全体の式典 (8:30頃に車はGraduate School of Businessの駐車場に駐めた。空いていた。Studiumの駐車場はすでに満車)
    1. 会場前で、式典プログラムと水を配っていた
    2. 入場式:学部生はコスプレ(コスチューム)大会、院生は普通
    3. 開会の辞
    4. Microsoft創立者のBill Gatesと奧さんのMelinda Gatesの式辞:
       Optimism が大事。そしてやることを見付けたらEmphasisが大事。
    5. 学位授与の宣言
    6. Hennessy学長の祝辞(米国大統領になったHoovar の話)
    7. 芝生に降りて、写真撮影とか、Stanford Jass Workshop Commencement Ensembleの演奏とチアリーディング
  2. 昼食: CS(Computer Science) のCommencement の会場に向かう途中。Aligera Armuni Center前で、食べ物を配っていた。CSのCommencement会場でもサンドイッチを配っていたが、もはやベジしか残っていなかった。
  3. 12:30- Frost Amphitheaterで行われたCSのCommencement。
    1. 学部長 Jennifer Widomの開会の辞
    2. 学位記 (Diploma)の授与: カメラマンがいて写真を撮影
    3. Jenniferによる閉会の辞
心配事)
Bill & Melinda Gatesは式辞で、「Optimismが大事」といったが、3つ悲観的なコメントを書く。

1. StanfordのCSは、どんどん人数が増えて卒業者は10年前の4倍。日本では電気やコンピュータは企業の不振もあって低人気だったようですが、それでは差が広まるのでは。

2. CSの学部授与式で中国・インド・アラブ系の苗字は沢山よばれたのに日系の苗字は1人のみ、別にStanfordだけが海外の大学じゃないのですが、日本に閉じこもっていなければよいが。

3. CSのPhD授与者は28人。CSには毎年1500人以上がPhDに応募しているとPhDの募集webに書かれている。が、卒業者はこれだけ、日本は無競争に近かったと思うが、大学教員として後身を育てたり主要な研究機関に所属するなど重要な役目を担うPhDが無競争なのと、激しい競争があるのでは、結果が違ってくるのでは。。

写真とコメント)
Studium入り口にプログラムが山積み
Studium入り口では水も無料で配っていた。2本もらってきた。
このあと、知り合いの日本人にも会った。
9:00頃に着席したので、下段に席が取れた

最近、Campus Drive等の街灯にかざってあった、桐の家紋のような旗(右列下から2番目)は、Stanfordの大学旗だったとは。。


学部生入場。コスプレ。しょっぱな当たりで、水着にガウンなんてのも。。

京都大学の卒業式はコスプレでビックリ http://matome.naver.jp/odai/2139562743642558901 「【衝撃】ヤバすぎる!京都大学の卒業式コスプレ画像まとめ2014 #KU卒業式 #京大卒業式」だと思ったら、Stanfordの方が上を行っているかも。写真は、下に、続く。。

まだまだ出てくる学部生のコスプレ。
まだまだ続くコスプレ
まだまだ続くコスプレ。スタンドの家族・来賓は総立ちで大歓声。のんきなものである。

まだまだ続く
頭にヤシのハッパをつけた、ダンサーみたいなコスプレ女性も卒業生。。

次は院生。厳粛な音楽が流れ、コスプレもなく整然と入場
次に、来賓と教授達が入場し、最後に、学長のJohn Hennssyと公演するBill & Melinda Gatesが入場。来賓達同様、大回りして、客席のまえを手を振りながら通っていった。。
会場では、レモネードとポップコーンも販売。店員は列に入れないので、端っこの人までが協力して、お金と商品を搬送。


John Hennessy学長の挨拶の冒頭で、お父さんに感謝Happy Farther's Dayといって、会場は大いに沸いた。
Bill & Melinda Gatesの式辞
MIPS RISCの発案者で名著Quantitative Approach :http://amzn.to/1p84yzc の著者(和訳は、http://amzn.to/1p84DTK )でも知られるComputer Scienceの大御所 John HennessyとBill Gatesという2人がおさまった貴重な写真。



2005年には、YouTube: http://youtu.be/XQB3H6I8t_4 (日本語字幕付き) にあるように、ありし日のAppleのSteve Jobsが、John Hennessyの前で、Commencementの式辞を述べている。以下が、その埋め込み画像。




Bill Gatesらの式辞も、そのうちYouTubeに上がると思う。BillとMelindaが交互に式辞をしゃべったが、概要は、

  1. Melinda: Some people call you Nurds, but it's a pride. : 「君たちのことを、Nurds (オタク)というかもしれないが、誇りに思ってほしい。」コスプレしている学生が大受け。
  2. Optimism (楽観主義が大事)
  3. アフリカを訪問して多くの子供がマラリアで死んでいることに気づき、MDR-TBなどのワクチンを接種するシステムを作った。最初は生存率が50%にしかならなかったが、その後、80%を越えた。
  4. 未来について暗い予測をする人も居るが、問題点を列挙して嘆くよりも、直せることを直していけば問題は解決していく。
  5. 君たちは私達よりもっと上手にできる。
  6. 今すぐに動く必要は無いし急ぐ必要は無い。が、そのうち、しなければならないと思ったときに、力をいれてほしい。"Emphasis"が大事なのだ。 
Steve Jobsの式辞の概要やら彼の考え方は、以下にも書いた。

2011年10月6日木曜日: Steve Jobsよ安らかに眠れ


「Stay hungry, stay cool.」と独創を主張した2005年のJobsのtalkから、ほぼ10年が経って、今度は、「OptimismやEmphasis」による共創を主張していることが時代の流れを感じる。
世の中も、Open InnovationやStanfordのd-schoolなど共創が叫ばれている。
日本は、もともと共創が得意な国だと思う。2020年には東京オリンピックもある。
これから日本が世界に向けて発信して、再度、世界の工場と呼ばれるよう、Optimisticに頑張っていくことが大事なのかもしれない。

全体式典が終わり、芝生に降りて、ジャズセッションを聞いた。フットボール場の芝生は毛足が長くふわふわしていた

このスタジアムは、1994年のサッカーワールドカップ米国大会 ( 
http://ja.wikipedia.org/wiki/1994_FIFAワールドカップ )の時に、ブラジル人の友人に誘われ、ブラジル戦を観戦した。奇しくも、そこに2014年ワールドカップ日本-コートジボアール戦(惜しくも敗退したが)の翌日に降り立つとは。。
この試合は、多分予選のブラジル-カメルーン戦。ロマーリオがゴールを決め快勝した。そしてブラジルは優勝した。この験を担ぎで今回の日本も登り調子になればよいのだが。。
移動する途中、Aligera Almuni Centerの前で無料で配られていた。フルーツやグラノラや水。
午後に行われたComputer Science (CS)の学位授与式: 学部長 Jenniferの開会の辞
去年までは、CSのあるGates Computer Scienceビルの裏の芝生で行っていたが、CSは、10年前の4倍に人数が増え、Human biologyについで、Stanford大で2番目に大きな学部になった。入りきらなくなったので、今年から (フーバタワー/Memorial Auditorium裏の) Frost Amphitheaterに会場を移したとのこと。確かに、学位記が膨大量ある。。

他にJenniferの開会の辞から。
  1. Computer Scienceは発見の為の貴重なツールになっている。このため、全学の授業としても学ぶ学生が多い。CS106Aは伝説の授業である。(Prof.  Mehran SahamiによるProgramming Methodologyの授業であり、 http://bit.ly/1kWVRIW のようなOnline学習のサイトもある。GitHub http://bit.ly/1p87cVT にもでている。膨大な学生が受講すると有名なもの。)
  2. 自分は親に、「大学の先生がいいよ」といわれて先生になった。実は、Jenniferの息子さんもStanfordにいる。
  3. 女性の比率は25%と低いが、全米平均の15%よりは高い。
この後、BS, MS, PhD 全員の名前をよび、プロカメラマンが写真を撮りつつ、学位を授与した。BS,MSの学生の名前を読み上げたのは、先の伝説の授業のProf. Mehran Sahami 。
日本と違うのは、優秀な学生には賞をあげて徹底的に引き立てること。まずawardの表彰をして、学位記を与えるときにも、名前のあとで、再度受賞について述べる。
「できるヤツはできる」(悔しかったら、ガンバってみろ!!)というのが米国の強さ、米国の学生がよく勉強する根本なのかもしれない。終身雇用で頑張らなくても一緒という雰囲気の会社とは差がついて当然である。

残念なのは、MSやPhDには、中国人・インド人の名前が沢山あるが、日本人の苗字はたったの一人であったこと。

米国にいる日系人が、学費が高い私学のStanfordを避けているのかもしれないが、日本から海外にでてCSを学ぶひとが減っているのではなかろうか。。 

以下PhDの学位授与。全体のCommencementのプログラムにも授与者のリストがあったが、2013/9/26, 2014/1/9, 2014/4/9, 2014/6/15といろいろな時期に授与され、卒業している。
私のいる研究室の学生も2013末と2014頭に2人PhDを授与され卒業しているが、一人はシアトルのMicrosoft Research, もうひとりはスイスのGoogle Researchにいるので、さすがに今回のCommencementには出席していなかった。事前に連絡がついているのか、居ない人で名前を呼ばれたのは、Masterで数人だけであった。

以下、PhDの学位授与。アドバイザがHooder (フードを掛ける人?) になりHoodを掛けてもらう。

Prof. David Mazières http://www.scs.stanford.edu/~dm/ にHoodを掛けてもらうPhD学生(かれはGoogleに就職したはず..)   Prof. DavidはMIT卒なので、ガウンがMIT http://bit.ly/1kWWvpOのもの。こういうところも統一しないで、あえて多様性を残すのが米国それも西海岸っぽい。

Computer Graphics/Computational PhotographyのProf. Marc Levoy http://graphics.stanford.edu/~levoy/ は、CommencementでもGoogle Glassをつけたまま。
Prof. JohnがHooderとしてPhD学生にHoodをかける。

自分がアドバイザになっているPhD学生が卒業しない先生は、式典には出席していなかった。たとえば、Prof. Bill Dallyとか。。逆にいうと、PhDの学生は、このHooderの任のために、アドバイザの先生を日曜に貸し切りにしているということである。

後日聞いた、Prof. Johnの雑談。「Hoodarは晴れがましい。首を通す穴じゃないところに、首を通すと失敗するので、やるほうも緊張する。以前、悲惨な失敗をみた、入れる穴も確認せず、フードの向きも確認せずつけた(教授がいた..)ので、フードは学生のお腹側に垂れ下がり(つまりよだれかけのようになり)、見るも哀れだった。」と。。

今回の卒業式でPhDを授与されたのは28人。Stanford CSのPhDには毎年、1500人を越える応募があるということなので、PhDには、それだけの価値があるのだろう。

ほぼ全入状態といわれる日本の大学の博士課程。そこから大学の先生やら重要な研究者をだしていくだけに、世界から希望者があつまって競争が激しくなるように工夫が必要なのではなかろうか。。

2013年5月6日月曜日

Thought for the Weekend - Stanford大CS142より

Thoughts for the Weekend. -- 週末に考えてみよう。。

は、Prof. John Ousterhoutが、週三回あるCS142の授業のうち、金曜の授業の最後に出す1枚のスライドである。これが、なかなか深い。毎回、結構長い解説がついていて、終わると学生から大きな拍手がある。

よくよく考えてみると、どの内容も、日本社会が今悩んでいる問題について述べている。
とりあえず今のところ最後の内容である5/3のものは、まさに東電事故のあとの日本人の振る舞いにもあてはまる。

世界中どこでも課題は一緒。どう対処するかを、いつも考え、それを教育に盛り込んでいるから、米国は強いのかな...と思う。是非最後までお読みいただきたい。

こんな内容でも、Prof. Johnは思いつきでは授業をしていない。レター用紙4-5枚に書いてきたメモを読みながら、間違えないように解説している。

学生に知識だけを詰め込んだり、レジャーランドと化している大学と、こうやって社会での生き残り方、変化への対応法を教えている大学では、若者のその後の成長が変わってくる。教育こそ一番大事な投資である。大学に特許数を競わせたり、大学の先生が政府の委員会で時間を奪われていたら、世界に通用する人材は育たない。。

2013年2月7日木曜日: 大学の本分は教育ではないのか。。


CS142全体)
CS142の授業全体については、以下に書いた。知識だけではなく、技術の進化・長短を教えることで、物事の本質を理解する能力を教えようとしている。

2013年5月6日月曜日: Stanford大学の授業



それぞれのThe thought for the weekend)
   ==> の記号の後ろに私の所感をつけた。
4/05(金)  
 A Little Bit of Slope Makes Up For a Lot of Y-intercept.
 約「少しのでも傾き(右上がり)があれば)、Y軸の値は上がっていく。」

「毎週金曜の最後に一つスライドを示す。週末に考えようってね。」
「技術的ではないけれど、もっと重要なことなんだ。。」から始まる。
「キャリアのために、フィロソフィー(哲学)が必要なんだ。そして、パーソナリティを、スパイスにするんだよ。(笑い)。」

4/05 (金)
「学んでいけば、そのうち成長しない人を追い越すということ。」

「この授業は、いろいろな人が出ているから、既にweb applicationのプログラムを書いた人もいるだろう。でも、あいつはよく知っているな。なんて心配することはない、ちゃんと授業にでていれば、すぐに追いつき追い越すから心配はいらないんだよ。。」
 と、まさに、いろいろな経歴の人がいる授業の最初にピッタリの内容。

さらに、
(Prof. John)「私は、ベンチャーをいくつか興したけれど、人を雇うときには、知識よりも学習能力を主に評価したよ。ベンチャーなんて、やっていて、誰も経験したことがないことが山ほど出てくるから、知識よりも、学べる能力のほうが重要だと考えるんだ。」

「歳を取って、同じ事を何度も繰り返していると、この学習の斜面がなくなってフラットになってしまうんだ。。」
「傾斜が緩くても悪くない、少しずつでも改善していくからね。。」

 ==> 日本で停滞する企業には、学習カーブの傾きがほとんど無くなった、(気持)年寄りばかりなのではなかろうか。。言い訳をしていて、チャレンジしなければ、何も学べない。

4/12(金)
   Coherent Systems are Unstable.

この一文だけ。訳すと、「規律がとれた(同期した)システムは不安定である。」

「レーザは、コヒーレントである。光の波が同じようにそろっている。
 経済システムも効率を追求すれば、制御を集中化して規律正しく動かす。」
「みんなが、使っているPCのwindowsもコヒーレントだ。しかし、それはエラーに弱い。中央がやられると、動かなくなる。」
「経済も、不況になるとまわらなくなる。」

「Coherent Systemを作るのは、効率が良いから。だが、外乱に弱くなる」

「そう言う点で、(米国)政府の作る決まりは、極めて非効率なんだが、安定だということだね。。」

「この命題には答えはないよ。。」

==> 確かに、日本が、高度成長を成しとげ、所定の経済構造の中で効率最高になる会社システムを作り上げた。だれでも管理でき失敗のない。。でも、経済構造が変わると、そして、現在のようにグローバル化して変わり続けることが当然になると、これが逆に足かせになっているように思う。誰が悪いわけでもない、効率を上げすぎたシステムに自分達が脅かされているのかもしれない
これは、http://president.jp/articles/-/9265?page=3 
 「大組織のスピードを上げる」米軍式4つのメソッド
でも述べられている。 
この記事に関して、まとめると、大きな組織のスピードをあげるために、米軍の9.11以降の変革が参考になるという記事。日本の企業では、軍隊式...と命令直下を主張する幹部もいるが、すでに、軍隊ですら昔と変わっている。最新の方式は、命令を出すものではなく、関係を確立し自律して動かすことで、予想外の状況(テロ)に対応するものである。
異論を推奨するも、日本の企業ではなかなか難しく、すぐにYesManの登用となる。それは、Prof. Johnも力説するように、変化に弱い組織を作り出す。 
記事にある変革のポイントは以下の5つ。
1.関係を構築する
2.共通の目的を確立する
3.共通の意識を生み出す
4.異論を奨励する
5. 不都合になるぎりぎりまで権限を分散せよ 
組織をフラットにしても、権限を分散しなければ、少ない幹部に判断案件が集中し、組織のスピードは返って落ちるばかりか、幹部がいないと何も動けない組織になってしまう。 
この米軍の組織改革の話は
『小さく賭けろ!―世界を変えた人と組織の成功の秘密-ピーター・シムズ』http://www.amazon.co.jp/dp/4822248968  にも詳しく紹介されているとのこと。
アメリカ陸軍の基本教義FM-05「作戦のプロセス」はたいへん面白い。創造的で俊敏な組織となるためには「デザイン思考」が重要であるとして1章をあてているとのこと。デザインとは「複雑かつ把握困難な様相を呈する問題を解決に導くために批判的かつ創造的な思考を適用してそれらの問題を理解し、視覚化し、描写するための方法論である 」とされる。簡単にいえば流動的な状況には固定的な既成の対処法を当てはめてはならないということ。
米国では、いろいろなところで主張されているようである。

4/19(金)
   You Don't Need to Lose Arguments

訳すと、議論に負ける必要はないんだよ。。
授業が終わったあとで、一応確認した。Johnは「これは、言葉の定義で遊んだんだよ」といっていた。つまり、Johnは通常とは違う意味でLoseを再定義している。

「間違っていることを、主張しつづけることが悪いんだ。」
「間違ったら、認めることだ。」- それをしないのが本当のLoseなんだよ。。

「子供は、気にしないから、親が止めてくれる。たとえば、道路にボールが出たときに、道に飛び出さないように親は止める。」

「(ところが、君たちは大人だから)だれも、君たちが正しいことをするように指導なんかしない。」

「自分が考えるようにやるしかないんだ。。」

「だから、自分で自分の行動を修正できるようになるしかないんだ。」

「誰でも間違える。だから、ダメージが小さいうちに直すしかないんだよ。」

「心から信じていても、常に考えて、証拠を集めていくしかない。」

「どんなに信じていても、赤信号がともったら、間違っているかも知れないと、考えはじめるときなんだよ。。」

「複数の人から指摘されたら、間違っているんだろうと思うべきだろう。」

「プログラムを作っていて、バグがいくつもでてきたなら、やり方がおかしいと思うだろう。」

「赤信号を見付けたら、なるべく早く認識することが大事なんだ。」

「トイレから出てきたら、あいつは考えが全く変わっていたんだというのは、間違っていないんだ。」

It's not late to fix it.    Self correct quickly!

==> 説明するまでもないことです。権威とかプライドとか、そんなものにこだわりだすと、なかなか実行できなくなります。つまり、若者のほうが偉いということでしょう。。

4/26(金)
   Scar Tissue Makes Relationship Wear Out.

訳すと、「傷の再生組織は、関係をほつれさせていく。」

「人間のつきあいなんて、25年も続くことは希で、せいぜい2〜5年。ビジネスだともっとはやくほつれる。どうして、そうなるのだろうかな。。」

「典型的なのは、小さな食い違いの積み重ねなんだ。。」

「人間は、ケガをすると、傷口にScar tissueという強くない組織ができる。治ったようにみえても、元通りにはなっていない。」

「一つ一つの傷は、命の危険にはならないんだが、みんな、このscar tissueを増やしていくんだ。。そして、あるときどうしても続かなくなる。」

「例を挙げると、自宅のキッチンのリフォームしてくれたプロのリフォーム屋がいて、仕事のできが良いので、長いこと懇意にしていたんだ。だが、キッチンのシンクのところの仕事をほんの少ししくじって、小さな隙間があって、そこからホコリがはいってくるんだ。。そのホコリを毎日見ていて、もう頼まないことにしたんだ。。」

解決策は、「とにかく、傷を作らない、怒(=upset)らないことだ。」「常に、妥協が必要なんだ。」

とりわけ盛大な拍手!!!

==> 私の指導教官でもあるProf. Johnは、学生にとても厳しく注文をだして、時に研究室の学生に対して「私は、学生には嫌われているんだろう」なんてつぶやく。そのProf. Johnの口からでるとは思えないような言葉。。

5/03(金)
   Fear is More Dangerous Than Evil.

訳すと、「恐れは、邪悪よりも危険である。」

「911テロのとき、テロリストの次の攻撃を恐れるあまり米国内には疑心暗鬼が飛び交って、人々の心がすさんだ。」

「人々は、悪い出来事から学習するのではなく、そのことを拒否しようとする」

「恐れを克服しないとならないんだが、邪悪と恐れはベストフレンドなんだ。。」

「動物は、恐れることがあるおかげで、リスクから逃れて命を守ることができる。」

「でも、人間が恐れを感じると、悪い結果をもたらす。」

「恐れの対局にあるのが、自信(Confidence)であり、力(Power)である」

「子供には、失敗を恐れるのではなく、立ち向かうスキルを教えないとならない。だから、子供が物事をうまくやってしまうのは実はまずいんだ。失敗して、対応を学べないからね。。」

「気分がHighになるとアドレナリンが出るという、そういうときは、恐れには支配されていないということだろう。。」

---

これは、 Will Smith と実子 Jaden Smithが出演する近々公開の映画 The Earth http://bit.ly/10bPvpR のポスターにも似たことが書かれている。「Danger Is Real. Fear Is A Choice」== 危険は実在であり、恐れは選択である。

 米国人は、fearというのが邪悪であることを、良く知っているのだろう。

5/10(金)
   Simplicity

訳すと、「シンプルさ」 - これはProf. Johnが、RAMCloud ( http://stanford.io/12Y8hWt )の研究開発でいつも主張している点でもある。

「人々は、マッチョ(つまり、完全対応)であることを主張するが、先が読めないことが良い」

「Simpleなほうがよい」「システムをつくるのは大変である」

「しかし、世の中では、複雑なシステムのほうが儲かる」

「ビジネススクールでは、基本複雑化しようとする。携帯の料金プランとか、クレジットカード、銀行のオンラインシステム、航空券の値段システム(時期と、ランク毎の値段)。。。。」「わからなくなる。。」

「シンプルさは保守容易性をもたらす。物理的にシンプルにすることを妨げる要因はない。」

「身動きが出来なくなる(Freeze)する前に考えよう!」

5/17(金)
   Is the Truth Your Enemy
   or Is the Truth Your Friends?


訳すと、「真実は敵か味方か?」

「調べて真実を見つけ出せば、見方になるはずだろう??」

「では、人々は、なぜ真実を見つけないで、言い訳をしたり否定したりするのか?」

「選挙では、否定したり、事実と反する情報を流したりする」

「本当のことを知るのは素晴らしいことだし、嘘をつくのは危険なことである」

「でも実際には、事実が何であるかに関わらず、先に進まなければならないことが多い」

「産業界では、自信が持てないが先に進まないとならないことが多い」

「地球温暖化も、海が沸騰すれば。「ああ、事実だった!!」とわかるだろう。。
 早めに、手を打とうとすれば、調べたりと、いろいろコストがかかる。」

5/24(金)
   The Most Important Component of Evolution is Death

訳すと、「改革のために最も重要なものは死か?」

「新たな組織を作る方が簡単なのか、既存の組織を変える方が簡単なのか?」

「一度できてしまうと、変えるのは大変」

「生物の場合には、個々は死ぬが、種を保存するために生殖が存在する」

「会社や会社文化を変えるのは大変である。」

「コンピュータの世界は、汎用機 → ミニコンピュータ → パソコン」と変わってきたが、普通はこういう世代交代は難しい。

「輪廻転生という意味では、Sun Micro SystemsがOracleに買収されたりしており、シリコンバレーでは変わることが常である。」 (補注:シリコンバレーでは、Silicon Graphicsの建物がGoogleの本社であり、Sunの本社跡にFacebookが入り、HPの跡地にApple Computerが本社を建てる)

「Googleの設備投資(CAPEX?)はサチッテいるし、AppleやMicrosoftの収益も平坦になりつつある。そろそろ、次の会社が台頭してくるということだろう。」

「ベンチャーキャピタルは、正しいことは、会社が死ぬことであるという。起業してしばらくたつと、起業者のハングリー精神がなくなるからであろう。」

「ソフトウェアは、とても変更することが簡単なので死ぬのではなくて、変更して更新して、生きながらえやすい。そして、複雑で、分かりにくいものになっていく。
 これは、どこかで止めないとならない。が、その手段は持っていない。」

「政府は、絶対に死なない。変われなくて、複雑怪奇になっていく。一から作り直せば、画期的なものになるかもしれないが、暴力的ことになるだろう。。」

(補注: これは、4/12のコメント:http://bit.ly/15cC2D5 「Coherent Systems are Unstable」と、若干矛盾している。統制の取れたシステムは脆弱であるので、4/12の解説では、統制は取れていない方がよいかもしれず、政府は最も統制が取れていない(ので良いのだ)。といっている。)

5/31(金)
   Do Your Disasters Make You Stronger or Weaker?

訳すと、「身に起きた惨状は、自分を強くするか、弱くするか?」

「生きていると、いろいろ重要なことがある。結婚とか、就職とか。。。そして、別れたりと悲惨なこと(Disaster) も起きる。」

「多くの人は、Disasterを悪い方にとる。再度起こしたくないと避けようとして、パラノイア(被害妄想)に陥ったりする。」

「問題を否定して、学習しないことが、自分を弱くする。そして、悪いスパイラルに入る。」

どうやって自分を強くするか。。それは、
  1. 痛みというのは、もっとも有効な教師だと考える 「Pain is the most effective teacher!」
  2. まだ生きているじゃないか。まだOKだ。次は上手くやろうと考える。そして、自信がモチベーションにかわる。
    「I'm still alive. I'm still OK. Confidence become motivation.」
そして、Prof. Johnが自分の身に起きたことを語った。

Johnが8歳の時に、父親が脳腫瘍で亡くなった。Johnの母は、名の知れた一流の女子大をでていたが、結婚してからずっと専業主婦だった。だが、母は、父の死で大学院に戻り、博士号をとって大学教授になった。

専業主婦なので、ある種気楽だったし、飛行機も乗ったこともないし、それまでは、どうやって生活費を節約するかを考えるのが習慣だった。
母は、「全員が、これからは、もっと責任をもって、自分でできることをやらないといけない。」ことを示した。Johnも強くなれて、出来ることは自分でやった。

そして、授業を受ける学生に、「これまで悲惨なことに会った人は手をあげてくれ。」
 -- 会場の20% が手をあげた。

「悪いことがあったら、プラスの経験に変えることが大事だ。そういう時に、こう自分に
問いかけてほしい。
             Do Your Disasters Make You Stronger or Weaker?」 (拍手)

6/5(水) - 今学期の最終の授業
   Can You Choose Your Personality?

訳すと、「自分の性格は選ぶことができるのか?」

最後のスライドはまとめになっていた。

「性格は変えられないという意見が多い。」
「でも、若いときの見聞きで決まると思っている。高校の終わりごろまでは、ほかのいろいろなコトで忙しく、性格も固まっていない。」

「高校を卒業して、大学時代のほんの短い時間 "really shot window"で性格が決まってしまう。」

「君たちも、もはや性格を変えるのには手遅れかも知れない(笑) ...」
「 でも、まだかわれる。素晴らしい位置にいるんだ。変わりたければ、なるべく早く。」

「私みたいな歳になっても、コントロールは可能だけれど。。」

「でも、Amazon.comで、筋肉増強トレーニングのDVDを買って、なりたい自分を作ろう。。などというものではない。(酔っ払っていて、なれたと感じることも良くあるだろうけれど。。(笑)」

「やり方は、回りをみまわして、真似るとか、反面教師にすることだ。あの人みたいになりたい。と思えば、少しは変われる。」

ここで、例をあげた。
「(Prof. Johnが)大学院のときに、不公平ばかりする教授がいた。その教授に、疑問点を説明にいって、説明しても理由も無く拒絶する。だんだん、その教授に対してinsult (横柄に振る舞う)するようになっていった。

ところが、その教授は、どんなに横柄に振る舞われても全く気にかけない。前と同じように、食事に誘ったり、親しくしてくれる。

どれだけ教授をinsultしても、彼は変わらない。自分が人間的に不完全であるだけだ。。と気づいた。そんな人間にはなりたくないと思い。insultするのはやめた。

insultするというのは、外部に起きている物事では無くて、自分の中におきている、コントロール可能なことなのだ。

今でも、学生達がどんなに毒づいてきても、insultしないようにと思っている。」

 (いままでで、一番盛大な拍手。)

(Prof. Johnの体験談は、理解しにくかったので、retreat (成果報告会)で雑談する機会があったので、内容を再確認してある。)

補足)
「若者のクリエイティヴ・冒険志向の国際比較」http://tmaita77.blogspot.jp/2013/03/blog-post.html という統計がある。元データは、第5回『世界価値観調査』(WVS)。調査年次は2005~08年であり,国によって違う。とのこと。

図を引用する。

また、若者は萎縮させられている? http://tmaita77.blogspot.jp/2013/03/blog-post_4.html 

には、以下のようなグラフがある。点線を挟んで上に伸びるほど、若者の冒険志向が強いということ。日本は他の国に比べて、若者の冒険志向が30歳以上に比べて、高くないということである。

日本の学生達が、創造的だと思えないのも、リスクが取れないのも、これまで述べたような考え方の教育ができてないからなのではなかろうか。。

ただ、「草食系」というのは私は評価している。人の目を気にしたり、評判を気にしないほうが、自由に暮らせる。「草食系」というのは、そういう人も含んでいると思う。


2012年11月5日月曜日

日本の強い産業: Toray

Carbon Fiber Composite Materials & their Applications in Transportation, Mr. Toshiyuki Kondo, President and CEO of Toray Composites (America), Inc. http://asia.stanford.edu/?page_id=4457 という講演があった。カーボンファイバー素材(CFRP: Carbon Fiber Reinforced Plastics)で武装したB787に対する、東レの貢献である。Stanfordの授業として録画され公開されるようである。

まさに、日本が強い産業のあり方を示しているので、引用しておく。

ポイントは、

  1. 自社のコア技術に自信を持ち、それを育てた
  2. 30年育成しつづけることで、欧州と米国が脱落し、日本勢3社が70%以上の世界シェアを持っている
  3. シアトルで顧客のボーイング社と密着している
  4. 社長(トップ)が、技術のポイントを完全に押さえている 。内容が分かってのプレゼンなので、プレゼン自体が説得力があって、分かりやすい。質問にも、的確に答えていた。
時間が無い方は、スライドの6番と7番を見れば様子が分かる。
日本の部品産業、素材産業が強いのは、長期的に投資し改良し続けると、日本の会社の強み、長期戦略性、日本人の粘り強さがでるということであろう。

司会者から、「ソフトウェアとかITみたいに、変化が激しく短期決戦ではないので、欧米人は勝てないのかなぁ。というコメントがあったが、まさにその通りだと思う。というか、変化が激しい産業で戦うなら、日本は、別な戦略・戦術を考えなければならないのであろう。

最後のQ&Aから、CFPの課題を書いておく。

プレゼンから)
要点を示すスライド写真をいくつか抜粋する

1.コアとなる3つの技術を持ちそれを育ててきた。(自社のコア技術を理解している)

2.もともとのレーヨンという技術を、ハイテク素材に発展させてきている

3.カーボンファイバー(CFP)は製造でCO2を出すものの、移動体に使えば、移動時のCO2排出が減るので、コストメリットがあるという明確な推進原理を理解している

B787で、CFRPの使用率50%を達成。(実は、強靱なCFRP素材を用いることで、主翼のアスペクト率をあげ、細く長くしているので、翼の効率も上がっている)

4.ボーイング社と密着して30年以上にわたり技術開発をしてきた。初期のころは、ごくわずかの部材にしかCFRPは使われていない

5.衝撃に対してアルミ合金より弱いのでB777では主要材料には使えなかった。これを、素材の組み合わせで解決した

6.まとめの図:1960年から開発を開始し、左グラフのように強度を大きく今日かさせてきた。そして2010年時点で、ようやく航空機と欧州の自動車産業が立ち上がりつつある。この時点で、世界シェアは、東レが39%でトップ。次が、Toho Tenaxで17%、次が三菱レーヨンで10%。なんと、この3社で世界シェアの66%を持っている。ただし、CFRPでの売り上げは、いまだ東レの売り上げの4%程度らしい。

7.上段4本が日本の4社。一番上がToray。したに沢山あるのが、欧米の競合。30年以上かかる事業化の途中で、みな脱落してしまっている

8.技術とマネージメントで成功した。こういうことが堂々といえる日本の大企業はまだまだ沢山ある。自信も持って良い
これを踏まえて円高について以下にまとめた)

2012年11月5日月曜日:日本の製造業を苦しめる円高の本当の理由



質問から)
2, 4 は私がしたもの。。情報元は、Motor Fan illustrated vol.61 カーボンの実力 http://amzn.to/SH0ac8 


1.  Q: 素材は、B787の工場近くで作って、立体成型はB787の工場でやるのか。
     A: そうだ。海外で整形して運んでくるものもある。

2. Q: CFRPの整形法には、プリプレグ(布型になって、樹脂をしみこましたもの)、樹脂が別になっているもの、プレス成形をするSMC などいろいろある。プリプレグを使うと保管や成型にコストがかかるようだが。。それぞれの利点は。。
    A: CFRPの強度は、以下できまる。

  1. 繊維の整列度
  2. 最適な樹脂の含有量
この2つの点で、いまのところプリプレグに勝るものはない

3. Q. 自動車用には、BMWとかBentzが興味を持っているようだが、日本車はどうなのか。
    A. やや欧州が先行した形だが、日本車も追いついてくるのでは。。
4. Q. CFRPの接合部は、金属ネジが入れてあったりするが、接合が問題なのか。。
    A. そうだ。ねじ山の強度に耐えられないので、ネジ部に金属を埋め込む。