まさに、日本が強い産業のあり方を示しているので、引用しておく。
ポイントは、
- 自社のコア技術に自信を持ち、それを育てた
- 30年育成しつづけることで、欧州と米国が脱落し、日本勢3社が70%以上の世界シェアを持っている
- シアトルで顧客のボーイング社と密着している
- 社長(トップ)が、技術のポイントを完全に押さえている 。内容が分かってのプレゼンなので、プレゼン自体が説得力があって、分かりやすい。質問にも、的確に答えていた。
時間が無い方は、スライドの6番と7番を見れば様子が分かる。
日本の部品産業、素材産業が強いのは、長期的に投資し改良し続けると、日本の会社の強み、長期戦略性、日本人の粘り強さがでるということであろう。
司会者から、「ソフトウェアとかITみたいに、変化が激しく短期決戦ではないので、欧米人は勝てないのかなぁ。というコメントがあったが、まさにその通りだと思う。というか、変化が激しい産業で戦うなら、日本は、別な戦略・戦術を考えなければならないのであろう。
最後のQ&Aから、CFPの課題を書いておく。
プレゼンから)
要点を示すスライド写真をいくつか抜粋する
1.コアとなる3つの技術を持ちそれを育ててきた。(自社のコア技術を理解している) |
2.もともとのレーヨンという技術を、ハイテク素材に発展させてきている |
3.カーボンファイバー(CFP)は製造でCO2を出すものの、移動体に使えば、移動時のCO2排出が減るので、コストメリットがあるという明確な推進原理を理解している |
B787で、CFRPの使用率50%を達成。(実は、強靱なCFRP素材を用いることで、主翼のアスペクト率をあげ、細く長くしているので、翼の効率も上がっている) |
4.ボーイング社と密着して30年以上にわたり技術開発をしてきた。初期のころは、ごくわずかの部材にしかCFRPは使われていない |
5.衝撃に対してアルミ合金より弱いのでB777では主要材料には使えなかった。これを、素材の組み合わせで解決した |
6.まとめの図:1960年から開発を開始し、左グラフのように強度を大きく今日かさせてきた。そして2010年時点で、ようやく航空機と欧州の自動車産業が立ち上がりつつある。この時点で、世界シェアは、東レが39%でトップ。次が、Toho Tenaxで17%、次が三菱レーヨンで10%。なんと、この3社で世界シェアの66%を持っている。ただし、CFRPでの売り上げは、いまだ東レの売り上げの4%程度らしい。 |
7.上段4本が日本の4社。一番上がToray。したに沢山あるのが、欧米の競合。30年以上かかる事業化の途中で、みな脱落してしまっている |
8.技術とマネージメントで成功した。こういうことが堂々といえる日本の大企業はまだまだ沢山ある。自信も持って良い |
これを踏まえて円高について以下にまとめた)
質問から)
2, 4 は私がしたもの。。情報元は、Motor Fan illustrated vol.61 カーボンの実力 http://amzn.to/SH0ac8
1. Q: 素材は、B787の工場近くで作って、立体成型はB787の工場でやるのか。
A: そうだ。海外で整形して運んでくるものもある。
2. Q: CFRPの整形法には、プリプレグ(布型になって、樹脂をしみこましたもの)、樹脂が別になっているもの、プレス成形をするSMC などいろいろある。プリプレグを使うと保管や成型にコストがかかるようだが。。それぞれの利点は。。
A: CFRPの強度は、以下できまる。
2012年11月5日月曜日:日本の製造業を苦しめる円高の本当の理由
質問から)
2, 4 は私がしたもの。。情報元は、Motor Fan illustrated vol.61 カーボンの実力 http://amzn.to/SH0ac8
1. Q: 素材は、B787の工場近くで作って、立体成型はB787の工場でやるのか。
A: そうだ。海外で整形して運んでくるものもある。
2. Q: CFRPの整形法には、プリプレグ(布型になって、樹脂をしみこましたもの)、樹脂が別になっているもの、プレス成形をするSMC などいろいろある。プリプレグを使うと保管や成型にコストがかかるようだが。。それぞれの利点は。。
A: CFRPの強度は、以下できまる。
- 繊維の整列度
- 最適な樹脂の含有量
この2つの点で、いまのところプリプレグに勝るものはない
3. Q. 自動車用には、BMWとかBentzが興味を持っているようだが、日本車はどうなのか。
A. やや欧州が先行した形だが、日本車も追いついてくるのでは。。
4. Q. CFRPの接合部は、金属ネジが入れてあったりするが、接合が問題なのか。。
A. そうだ。ねじ山の強度に耐えられないので、ネジ部に金属を埋め込む。