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60万アクセスまでの経過

2009年12月に始めた本blog。2011年7月ごろに10万アクセスを達成し、2011年12月13日には15万アクセスを達成。
その後、私も更新しておらず、アクセスは少し減りましたが、3月1日には18万アクセス。2012/4/18に20万アクセス、2012/8/21に25万アクセス、2013/1/18に30万アクセス、2013/12/17に40万アクセスを達成しました。しばらく見ていなかったら、2015/5/1に50万2584アクセスになっていました。またまた、しばらく更新しないうちに、2017/6/11に60万7197アクセスになっていました。2018/7/7 .. おお七夕 .. には63万0656アクセスになっていました。久しぶりに更新しました。

2014年11月22日土曜日

米国の公立高校での音楽教育

米国シリコンバレーの現地高校での音楽教育)
  • 音楽の授業ではオーディションをしてクラスを選ぶ
  • クラスは学年ごとには分けず、通年で演奏の腕で分ける
  • クラス毎に楽団が作られる
  • 授業の成果発表として発表会を毎月ぐらいの頻度で行う
    • 会場は学校のホール等だが、一人10ドルぐらいの入場料をとる
    • 300人ぐらい入る会場はいつも父兄や学校の友人で満席
    • 父兄がボランティアで参加して、軽食やおかしが振る舞われることもある
  • ブラスバンドの精鋭中の精鋭は、マーチングバンドとして選抜され、フランスのコンクールに出場する。これが、最大の栄誉(目標)らしい。
  • シリコンバレーのFremont学区には5校あったが、どこもハイレベルな楽団をもっていた
2012年に子供達が入っていたLynbrookという高校(米国は534制なので中学3年も含む)での状況を以下で説明して関連写真を末尾に引用する。
オーケストラの一軍は日本の大学顔負けのレベルなので、そのうち演奏を掲載したい。この投稿もその際には、移動させることになると思う。

ともあれ、以下に書いた日本の運動会文化とは、大分、狙いも運営も違うように思う。

2014年11月2日日曜日: 日本だけの運動会文化


楽団の構成)
  • 弦楽団:全生徒数700人程度の高校でオーケストラが2つ存在する
    1. Orchestra -- 弦の一軍
    2. Wind Ensemble -- 弦の二軍
  • ブラスバンド
    1. Symphonic Band -- ブラスバンドの一軍
    2. Concert Band -- ブラスバンドの一軍
  • 合唱
    1. Dolcissima Girls -- 女子合唱の精鋭
    2. Girls Choir -- 女子合唱
    3. Concert Choir -- 男子合唱
時々合同演奏もやる。

主な特徴)
  1. 二軍でもクラスに入るのにオーディションが必要
  2. ただし、ヘタクソで入った子供も区別せず、ちゃんと指導するし、本人もモチベートされて一生懸命練習する。また1〜2ヶ月ぐらいでコンサートに出してもらえるので大変モチベーションが上がる。
  3. 毎月発表会があるが、これは音楽のみ。合唱と合同だったり、そうでなかったり。
    1. 発表会では順位をつけたりしない
    2. 先生が毎回工夫を凝らす。
      1. 楽曲を変える。ポピュラーにしたり、有名クラシックにしたり、現代音楽風の難度の高い曲にしたり
      2. レベル別の小グループにわけて以下の試みもしている。
        1. 先生は指導しない
        2. チーム選定、楽曲選定、衣装、舞台での並び(座るか、立つか...)は、全部チームで決める。
        3. 指揮者はなく自分たちで工夫してタイミングを合わせる
  4. コンクールが時々ある。ここでは、
    1. 特定分野のみの大会。私が聴講したのはブラスバンドのコンサート
    2. エリアの高校対抗であり、優勝校と上位校はカリフォルニア大会に進出する
    3. 順位をつける。一軍も二軍も一緒に争うので、当然一軍が上位に来る。
    4. 演奏後、審査員による好評があるばかりか、楽団は演奏終了後に別室によばれ楽曲指導が行われる。そこでは音楽の先生が、演奏の問題点を指摘し、課題修正のための練習が行われる。指導していたのは、以下のような数点のポイント
      1. 強弱(アーテキュレーション)の付け方:一人で演奏するp(ピアノ)のほうが、大勢で演奏するpp(ピアニッシモ)より大きい音になる
      2. 情緒の出し方
    5. Lynbrook高校のCondert bandは二軍なので上位には食い込めなかったが、ハイレベルな一軍のSymphonic bandも州大会には進出できなかった。
競争って本来こういうものなのではないのでしょうか....

間違えてオーディション有りのクラスに全く素人で入った子が
頑張った結果、2ヶ月でコンサートにも出場し、
校長先生から頑張りと上達をたたえた表彰状
(彼は、熱を出しても登校していた)
コンサートのプログラム
左上から 右下へ
2011/12/8 Winter Concert - 弦、管、合唱合同
2012/2/1 三校のConcert band(金管2軍)の 合同Concert
2012/3/23 Spring Concert - 弦と管楽団
2012/2/30 Spring Concert - 合唱団
2012/5/24 Pop Concert - 弦、管、合唱合同

と、しょっちゅうコンサートをやっている

2012/3/31 :地域の全校によるコンクール
演奏と審査員講評のあと別室で審査員の一人による
Lynbrook高校のConcert Band(管の2軍)への指導会
 以下)2012/4/3に開催されたコンサート: 自主的にメンバ、楽曲、服装をえらび、指揮者無しでやる演奏会の試みから...
弦の一軍のなかの最も精鋭チーム
左はじがコンサートマスタ(圧倒的に上手い)、隣が副コンサートマスタ

他の弦のチーム

金管楽器のチーム

2014年11月2日日曜日

日本だけの運動会文化

米国の学校では、運動会、修学旅行、文化祭は行われないようである。時々、現地の小学校で運動会をやっていると、日本人学校だったりする。中国やインド人もやらないみたいである。これが良い文化なのか悪い文化なのかは分からないが、運動会というものが妙に日本の文化(ムラ文化?)を表しているように思えてならない。。

ガイジンになったつもりで
運動会の不可解さを考えてみた..)

  1. 同じムラでの親睦を深める目的
    1. 学校とか地域とか海外なら日本人とか(ガイジンは入れない...)。複数学校合同運動会とか、あまり無いないように思う。男子校なんて女子校と合同運動会をやれば楽しいのに。。
  2. 親睦を深めるという目的なのに、なぜか競争する
    1. クラスやら地域やらで分けて、点数でトップを目指す(紅白歌合戦のノリか)
  3. 競争するくせに、上位大会がない。つまり運動会でトップになったらオシマイ。通常のスポーツのように、県大会、全国大会があるわけではない。つまり競争の結果はあまり重視されない。
  4. 会のなかで相対競争するだけなので、特に事前練習するわけでもない。(特に、大人の運動会の場合)全然練習しないで走ったりするので、怪我をしたりする。
  5. 最近は、親も運動会で写真やビデオを撮るのに必死。自分の子供の写真を撮るために朝早くからかけてつけて、必死で席取りをし、他人を押しのけて自分の子供だけをビデオにとる。
親睦なら競争しないで仲良くやれば良いし、ま、余興でチャンピオンを決めるなら、心から祝ってやればよいと思うが、とかく負けると悔しくてねたむ国民性なのに、わざとあおるように競争させるのは、きっと不思議に映ると思う。

親が必死で撮影する写真やビデオにしても、仮に運動会の競争で一番になっても、そのムラの中だけの一位。子供にとってみれば記念になるのは友達の中にいる自分なのに、子供だけのアップのビデオばかり増える。。
そもそも子供の記念の写真は、欧米人は家族で良い衣装を着て、毎年専門の写真館で取ってもらう。欧米人にしてみれば、なんでそんなに躍起になるのか。。と疑問に思うかもしれない。

米国で「スポーツが趣味」という人は、本格的にやっていてプロ級の人が結構いるという。やるなら、絶対的なトップを目指す人が多い。趣味ならどうでもよいかもしれないが、趣味ですら仲間内で競ってよしとすることはないと思う。

「目的が親睦といいつつ、競争に持ち込み、その競争の結果にはあまり意味がない」と、目的と運営=すなわちロジックにズレがあるのも、日本に多いパタンのように思う。

ムラの中での戦いをやめて
結束して世界と戦おう!
私の高校時代までは)
私も日本の教育で育ったので、こどものころには運動会や文化祭には気合いをいれていた。特に、地元の高校は進学校であったが、運動会と文化祭への気合いの入れ方はすさまじく、中心になって、運営して気合いをいれた。が、今考えると、普通の運動会とは違っていて、オリジナリティとか絶対的な価値を探し始めていたように思う。

そして、大学に入ってからの文化祭はますますその傾向が強かったように思う。当時、「恋人リサーチ」のような軽いノリの出し物が多かった中で、「ヤマハ」に掛け合って最新のMIDI対応のシンセサイザーを何台か借りて、友人達と音声サンプルボードを設計し、PCのプログラムを作成し、マイクの歌から音符を採譜し、リアルタイムで自動的に伴奏を生成するシステムを作ってデモした。。当時、まだ国産の8ビットパソコンがでたかどうかの時代で、PC9801がまだ無かった時代である。

運動会の歴史)
wikipedia: 運動会 によると、
「運動会の起源はヨーロッパにあるとされるが、欧米では体育及びスポーツの分化により、一方では特定種目の競技会やそれを複合させたスポーツ競技会、一方で子どもによる伝統的な遊戯まつりやピクニック会などへとつながって今日に至っている[2]。そのため、日本の運動会のように参加者が一定のプログラムについて順次全体としてまとまりながら競技・演技を行う形式の体育的行事は「近代日本独特の体育的行事」といわれる[2]。」とあり、日本、それも近代日本独自の文化らしい。

「1878年5月25日には札幌農学校で「力芸会」が開催された[9]。その後、僅か数年で北海道内の小中学校に広がったといわれる。また、1883年からは東京大学で「運動会」が定期開催されている」とある。
 1878年は明治11年であり、富国強兵。家内制手工業から大量生産の欧米型産業への移行期であった。文明開化した日本は欧米列強を追い越すため、官民協力して、文化をつくりパラダイムシフトをしてきたように思う。

家内制手工業的時代への復帰?)

だが、世の中は技術変化と設計・生産技術の進化により、ソフトウェア産業・半導体産業のみならずオフィスも自動化が進んできている。設計検証の自動化・web化・クラウド化・新たな流通網・NC工作機械・3Dプリンタなどの技術革新によって、多くの産業が再び少数精鋭で成立するようになりつつある。米国では、すでに農業も、高度に省力化された産業に変わっている。つまり、人海戦術の大量生産から、再び、江戸時代の職人芸や家内制手工業に近い形に戻りつつあるように思う。

かつて運動会文化で短期で工業国化を達成したのかもしれないが、今や、それだけでは足らないのではなかろうか。。。

自動化により人海戦術に頼れる業種は段々と少なくなりつつあるように思う。そして、ごく高度なサービスを必要とするサービス業や医療しか産業が残らない。
これらは人海戦術なので、市場シェアが大きくなったときに労働力も同様に投入せざるをえず、いわば「スケールしない」産業となりうる。付加価値を上げ続ければ、収益率は改善するだろうが。。
こういう産業が人工知能ロボットでスケールするようになった時代には、これら産業も、設計が全てを決める少数精鋭による産業になっているのかもしれない。

バブル崩壊移行30年近く踏みとどまっている日本に必要なのは以下の3つに整理されるのではなかろうか。
  1. 従来型大量生産に向いたパラダイム (均質、平均レベル向上)の活用法を考える
  2. 自動化時代に適合した少数精鋭パラダイム(少数精鋭、トップレベル向上)を構築する
  3. 全く新しいパラダイムを生み出す
米国の現地高校では)
これは以下に書いた。日本の運動会文化とは、大分、姿勢と運営が違う。

2014年11月22日土曜日: 米国の公立高校での音楽教育



2014年9月15日月曜日

Intel の14nmプロセスの期待と課題 - IDF2014から

今回のIDFでは新しい14nmプロセスのcoreアーキテクチャ Broadwellがcore Mとして発表された。Intel のtick時期のコアなので、Haswellの論理をあまりいじらずに14nmにシュリンクしたもの。これの論理だけを刷新するtock期の製品が次に来るSkylakeである。

関連記事: IDF 2014 - 「Skylake」動作デモ公開、Broadwell後継として来年登場 - 基調講演レポート (マイナビニュース 塩田紳二)

Broadwellに関する記事: IDFでIntelが14nmプロセス世代の「Broadwell」を公開 (PCwatch 後藤弘茂のWeekly海外ニュース)

Broadwell 新PCへの期待)
Broadwell (14nm) - 商品名Core M利用の小型PCは、年末商戦にむけて10月から沢山でてくる。特に、小型化が進むことで、displayを取り外したり折りたたんだりするとtabletにもなる2 in 1を主流として売り込むことで、ARM社CPUが支配的なtablet市場にIntelが乗り込もうとしているように思う。

以下、IDF day2 11:00-12:00 Mega Session: PC Reinvention and Innovation
by Kirk Skaugen より

notePC用packageの比較:左が22nm Haswell、右が14nm Broadwell (Core M) 
上: 14nm Broadwellのマザーボード
下: 22nm Haswell利用のマザーボード
これだけ小さくなる
5年ぐらい前のlaptopPCと14nm Broadwell利用の2in1の比較 
2014/10月から各社よりBroadwell利用のnotePC 特に2in1 PCが沢山でてくる。
Lenovoのものは5種類に変化 (Transform??) していた。
Intel Processの課題)
今年1月といわれていて立ちあげがかなり遅れた14nmプロセス技術の詳細は明かされていない。
冒頭であげたBroadwellに関する記事: IDFでIntelが14nmプロセス世代の「Broadwell」を公開に解説があるとおり、Intelの微細化の展望が明るいわけではない。これを以下で紹介する。

22nmから14nmに微細化すると、一辺が1/√2 になるので単純にはchip面積は1/2になる。以下、Intel講演をみてもIntelの14nmプロセスは、(他社と違い)前世代に比べ本当に面積が1/2になることを誇っている。
トランジスタ性能をあげ(電源電圧を落として電力を下げつつ性能を維持し)、リーク(漏れ電流)を減らすなどの工夫をいれても、電力は70% にしかならない。

もともとCMOSにはスケーリング則があり、微細化すると電圧も対応して下げられたので電力密度は上がらず、消費電力が大きく下がり、性能も上がってきた。ところが電圧は無限に下げられるわけでもないし、配線も細さに限界があるので、最近はこれが行き詰まっている。
参考資料: 「スケーリング則の破綻と新材料・プロセスへの期待」

つまりCPUとして同じ電力消費にすると、chip面積あたりの発熱量が0.7/0.5=1.4倍になってしまって放熱しきれなくなる。世の中desktopから小型化に向かっているので、大きなフィンをつけたり、水冷とかは避けたい。

製造コストはチップ面積に比例するので、チップ面積を大きくするためには、値段アップのための顧客価値が必要になる。従来は、これを使いcacheサイズを増やして性能を上げるとか、GPUをつけてグラフィック性能を上げるとかで対応してきた。が、どうもcacheサイズもそろそろ必要十分になりつつある模様。

この証拠にハイパフォーマンス系のXeon は、最近発表した14nm版では12コアから18コアへと増やしたが、cache量やトランジスタ数はさほど増えていない。
18コア版Haswell-Eファミリに隠されたIntel CPU進化のトレンド (同じくPCwatch 後藤弘茂のWeekly海外ニュース)

まとめると、微細化により低電力化しても、に熱密度が上がるジレンマがあるので、cacheなどを巨大化してきたが、それが行き止まれば、CPUは次第にローパワーへと向かわざるを得ない。最近のIntelが、利益率の良いPC用CPUと共食いするのを知りながら、安価なTablet/Mobile向けCPUに向かっている背景には、こういう事情があるのだろう。

IntelもdesktopからnotePCへ薄型のUltrabook、そしてtablet共用の2in1へと向かい、ARMとの大競争が始まるのであろう。

Intelの14nmプロセスの講演)
IDF2014では、プロセスデバイスの研究開発のトップ Mark Borh, Intel Senior Fellowによる14nmプロセスの講演があった。( 基礎技術の発表はIDFでも最近かなり減っている。)
いつものように自信満々で歯切れのよい発表から...

Mark Borh
Markは、2011年にIntel初の3Dトランジスタ Trigate 22nmで強気の発表(以下に記載) をしている。

2011年5月16日月曜日: Intelの立体トランジスタ


Intelの微細化は順調に進んでいる
自分のサイズいりのスケールで22nmの大きさを比較。
笑いをとってツカミはバッチリ

ゲート(青い部分)の容量を減らして性能と電力を稼ぐ為に、
14nm (右)ではフィンを高くしている。このため従来は3 legだった
Trも2 legで済む。

配線層も順調に微細化

SRAMサイズも順調に微細化

微細化を評価するためには、ゲートピッチ x 配線ピッチで
公正に(つまり実際に面積縮小に効く具合で) 比較すべきだという主張

他社は3D化で足踏みがある(説明上インチキをしている)が
Intelは着実に微細化(Gate Pitch x Metal Pitch)している
トランジスタ辺りのコストは着実に下がっている
22nmから14nmになって、各ターゲット向けのどれにおいても
1.6倍ペースで低電力性(or性能)が向上
第5世代Core (Broadwell = Core M ) 第4世代Core (22nm Haswell)に比べ CPUは50%高速、Graphicは40%高速。低電力 TDPを60%削減
Broadwellでは、die sizeは単純計算では0.51倍になるはずだが、
機能増により実際には0.63倍

今年1月といわれていて立ちあげがかなり遅れた14nmプロセス技術の詳細は明かされていないし、自信満々の裏には、前章で述べたような苦しい事情があるのだろう。

調子の良い話とは、実は困った課題を隠そうとしている現れというのが真理なのかもしれない....

Intelの小型ベアボーン NUC

2014年9月14日日曜日: Intel Edisonボードを使ってみた


の冒頭で紹介した、Intel Developer Forum 。この入り口を入ったところにIntel製品直販(以下写真の左上部) コーナがあり、notePCやIntel SSD、アメニティグッズ、Edison (確か60ドルぐらい..だた。) などが売られていた。

左上 - インテル直販
中 - バネ付きの棒? を使った見世物??
その直販コーナで興味を引いたのが、Intel製小型ベアボーンのNUC。また、Intelラボの展示パネル(液晶テレビに投影)は、テーブルのなかに、このNUCとマウス、キーボードをつなぎ、HDMIで液晶テレビに接続していた。

売り場では以下の3種類のNUCが売られていた。
3つのNUC
左から、
  1. D3410WYKH - Core i3 (1.7GHz 2 core) 版: $280をIDF特価 約$255
  2. DN2820FYKH - Celeron版: $144.99をIDF特価 $134.99
  3. D54250WYFH - Core i5 (2.4GHz 2core)版: #355.66をIDF特価 約$345
amazon.com http://amzn.to/1qV5KYS でも売られているが、それよりも$10前後安い。末尾Hが付かないものは筐体が小さくて2.5inch HDDを納めるスペースが無い。IDF day3では、D54250WYFHの蓋を開いて展示していた。

Intel小型ベアボーン: NUCの内側

NUCはお徳)
core i3版のD3410WYKHでは、1.7GHz 2 coreの22nm Haswell (第4世代Core™ i3-4010U、ノートPC用のカード品 )がすでに基板に半田付けされている。(Celeron版のspecをみるとCPU別購入の可能性もある...)
PCwatchの価格情報 2014/8月 http://bit.ly/1qV7Fge をみると、LGA1155のdesktop用Core i3の実売価格は大体1万円前後なので、それ込みだと考えるとからにお徳である。core i5は大体6千円upなので、core i5版との価格差も適性であろう。(linuxを走らせるにはcore i5やi7の性能は不要だと思うが...)

これにDRAMとHDD/SSDを追加購入するとsmall desktop PCができあがる。(もちろん、マウス、keyboard、displayも必要だが....)

熱に応じてまわるファンが付いているらしく、ファンレスではない。

2枚のSoDIMMスロット(つまり最大16GB memory) と1つの2.5inch SATA HDD/SSD スロットが有る。(Celeron版は1スロット)

LAN, WiFi, Graphic(Mini Display port およびHDMI ) は内蔵だし、 mini PCI Express* と mSATA (SSD)ポートも内蔵。新しいGraphic biosも搭載している。

普通のPCなので、windowsでもLinuxでもインストール可能。
ほぼ70ドルupで2.4GHzのcore i5版もある。

詳細SPEC)
  1. D3410WYKHのスペックは、 http://www.intel.com/content/www/us/en/nuc/nuc-kit-d34010wykh.html にある。CPUは Core™ i3-4010U がすでに基板に半田付けしてある。
    Core™ i3-4010Uのスペックは、http://ark.intel.com/products/75107 のように22nmプロセスの第4世代Core (Haswell)
この他のNUCのスペックは、http://www.intel.com/content/www/us/en/nuc/overview.html から参照できる。

Broadwellだったらなぁ)
今回のIDFでは新しい14nmプロセスのcoreアーキテクチャ Broadwellがcore Mとして発表された。Intel のtick時期のコアなので、Haswellの論理をあまりいじらずに14nmにシュリンクしたもの。これの論理だけを刷新するtock期の製品が次に来るSkylake である。


Skylakeは遅れているので期待できないが、core i3やi5版のNUCに乗っているのがBroadwellだったら、絶対買ってしまうところだった。


Broadwell版の小型PCは、年末商戦にむけて10月から沢山でてくる。

Broadwellの意味)
IDFでの14nmプロセスに関する講演、Keynoteを以下に掲載した。

2014年9月15日月曜日: Intel の14nmプロセスの期待と課題 - IDF2014から

2014年9月14日日曜日

Intel Edisonボードを使ってみた


San Franciscoの展示場Moscone Westで2014/9/9-9/11に開催されたIntel Developer Forum 2014 の目玉はIoT(Internet of Things)つまり、インターネットに繋がる極めて様々な装置・端末、ないしは、小型の常時稼働型・超低電力デバイス。

IDF会場 2Fロビー: Edisonを使ったIoTデモのブース
この他にも多数
 
スマホとそれに続くtabletでARM陣営の後塵を拝し、いまIntelは2 in 1 PCなどで挽回を図っている。 それらの先には、話題のApple watch  http://www.apple.com/jp/watch/technology/ やGoogle Glassや、もっと小さなセンサーのデバイスがやってくる。ここではARM以外にArduinoなどの選択肢もあり、まだエコシステムの構築競争が始まったところである。Intelはそこを最初から押さえたいのであろう。Intelの2 in 1 PC/Tablet での狙いについては、以下に書いた。

2014年9月15日月曜日: Intel の14nmプロセスの期待と課題 - IDF2014から

余談) 9/9-9/11という911テロを彷彿される開催時期。というよりも、AppleのiPhone6やiWatchの発表も2014/9/9に行われており、年末商戦とかにも向けて展示会が多い時期で人が移動する時期をテロが狙ったと考えた方がよいのだろう.....
IDFのshow caseの中央でも、組み込み評価ボードEdisonを展示していた)
IDF showcase中央のEdisonブース
Edisonブースに技術情報を聞きにいった所、「面白い評価アイディアを持っている人には、無料で配っている」ということらしく、「あそこのブースでATOMのサーバを展示しているのだが...」と話を切り出したところ評価ボードがもらえた。私の横で話をしていた方は、欧州からの大学の先生らしく、「組み込み系の講義の教材にする」と言ってもらっていた。

調べてみるとamazonでも99ドル http://amzn.to/1BC0myN で売られる予定(2014/9/16リリースだとのこと.. 一般発売前のレア品だったのか... )。

結局おもちゃが3つに増えた)
組み込み評価ボードたち
  1. 左上) 自作PIC (これは16F1827を使った、binary表示時計) - 2ヶ月ほどまえにハンダ付け。PICのプログラムはこれから...
  2. 左下) MicroView - これはArduino。Crowdfundingのkickstartで昨年末注文したものが、2014年8月中旬に届いた。
  3. 右) Intel Edison (これは22nm ATOM silvermont) - IDFでもらってきたもの。
    今回は3について報告する。1, 2についても後日報告したい。
その他拙blogで既報のLinux/Unix 装置は以下のものがある)

iPhoneの脱獄 - これはBSD Unix
 最近のは、2013年12月24日火曜日 : Evasi0n7によりiOS7.x の完全脱獄に成功

2011年8月27日土曜日: MacOSにBSDコマンドを追加し、まとめてファイルをダウンロード

2011年10月23日日曜日: MacでBSDツールを利用する・大学の電子ブック
2011年9月4日日曜日: Nook Touchの脱獄 -- これはLinuxの上にDarvik VMなどを載せた構造のAndroid
2012年12月5日水曜日: Raspberry Pi
2012年12月9日日曜日: Linuxが走っているSDカード: PQI Air Card

2013年1月5日土曜日: 自宅にLinuxサーバを構築した

Edisonについて)
15.5 cm x8.5cm x 4cm の箱に入っている
箱の中から出てくる2つのボード

Edisonは葉書より一回り小さいベースI/Oボードと、SDカードより若干大きいサイズのCPUカード(メザニンボード) からなる。メザニンボードの上の銀色のEdisonパッケージはSDカードよりも若干小さい。

Edisonは、PCwatch記事 「Intel、SilvermontコアのAtomを搭載した新Edisonを公開」 に紹介がある。これによると、PoP(パッケージオンパッケージ)で、CPU上に、1GBのメモリと4GBのフラッシュメモリのストレージが乗せられており、Linux OSで動作しているとある。

IntelのProduct 情報: Intel® Edison Module によると100MHz動作の32bit組み込みx86 CPU QuarkやBluetoothも乗っているらしい。microSDカードのポートも有る。至れり尽くせり...
だが、RaspberryPIとは違って、HDMIとかVideo出力はない。

https://communities.intel.com/docs/DOC-23161 からdownloadできるpdfのボードマニュアルをみると、スイッチングDCコンがボードに搭載されており、外部電源を選択すれば7-17Vの外部DC入力で動く模様。
また、バッテリー動作も想定されており、Li-Ion電池を接続するポートもあり、バッテリーチャージャ機能も内蔵されている模様。以下、Li-Ionの件は出ていないが、上記リンクのpdfから抜粋したボードのブロック図。

Edisonボードブロック図
Sparkfunのボード)
Arduinoと周辺ボードの会社Sparkfunから、このEdisonCPUカードを含む、IoT開発用の小型のカードキットが売られている。https://www.sparkfun.com/products/13093

ここにある紹介videoを以下に掲載する。


基本機能だけの以下のsetで115ドルらしいが、他にもボードがあり各種IoTデバイスが作れそう。たとえば、Microviewと同じdisplay+sw+ジョイスティックのボードとか、3軸加速度計+3軸ジャイロ+磁気コンパスのチップ入りボードとかがある。

Intel® Edison Starter Pack: $114.95
Intel® Edison Sensor Pack: $69.95
動かしてみた)
箱の裏に、"maker.intel.com"とある。これを入れると、EdisoとGalireoのサイト: Intel Makers: What Will You Make? に行く。

ここのEdison のリンクをクリックすると http://www.intel.com/content/www/us/en/do-it-yourself/edison.html つまり、先に示したリンク Intel® Edison Module  に行く。

Edison Getting Started Guide - Mac を参照しつつ、Macを母艦にしてEdisonを動かしてみた。まず、上記に紹介があるように、ボードを組み立てて、Edison用のArduino SDKをダウンロードする(これはJavaで動いている)。microView用のがver1.5.7で、Edison用のがver1.5.3なので、それぞれArduinoMicroview.app, ArduinoEdison.appと名前を変えて/Applicationsにおいた。(work arewの設定を変えていないので、ファイルを共有しているらしく、Edison用を起動すると、microviewライブラリが無いとエラーになるので今後対応する)
microUSBを接続
まずmicroUSBを接続)microUSB側を使うには、その上にある小さなスイッチをmicroUSB側に倒す必要がある。通常USBを使うと電源アダプタが必要になる模様。

写真上側のmicroUSBは電源供給(ないしは、targetデバイス向けなのかもしれないが..)
下側のmicroUSBが通信用であり、ともにPCに接続する。

シリアルデバイス)
上側のmicroUSBを接続しただけでは/dev/cu.*は何も変わらないが、下側のmicroUSBを接続すると、以下の3つのデバイスができた。
  • /dev/cu.usbmodem1421241
  • /dev/cu.usbmodem1421243
  • /dev/cu.usbserial-A703ZBFN
ArduinoのSDKアプリを起動して設定)
冒頭の Edison Getting Started Guide - Mac にあるように、BoardをEdisonに(もともとそうなっていたが)して、Serial Portをリストの一番最後の /dev/cu.usbserial-A703ZBFN に設定して、uploadをかける。コンパイルは成功するものの、uploadを数度試して失敗する。



Arduino Intel - SDK画面
upload 失敗でtimeout

端末画面からlogin)
uploadしなくてもlinuxが立ち上がっているはずなので、ガイドに従い、terminalからloginを試した。
上記のdevice名を用いて、Macのterminalから以下の様に打つ。($の前はプロンプト)
Satoshi-MacBA:~$ screen /dev/cu.usbserial-A703ZBFN 115200 -L
すると、login画面が表示される。
ガイドにあるようにuser名は、rootでパスワードはそのままreturn (パスワードなし) でloginできた。

最初に電源を入れた後、そのまま引っこ抜いたので、ファイルが壊れていて、fsckが走って、file systemを修復していた。linuxなのでshutdown処理は必須。

WiFiを有効化)
root@edison:~# configure_edison --setup
(#の前はプロンプト)を、やってみるとsetupオプションが変わっていて、インタラクティブには設定できない。エラーメッセージにある、ヘルプを参考に以下のコマンドでwifiを設定。WEP, WPA2-Personal, WPA2-Enterprizeが選択でき、SSIDステルスにも対応している。
root@edison:~# configure_edison -w

WiFiを設定するとsshでつながった。sshして、
  • root@edison:~# uname -a
  • root@edison:~# cat /proc/version
  • root@edison:~# cat /proc/cpuinfo
をやったのが以下画面。結果をまとめると、順に
  • OS名はLinux edison 3.10.17-poky-edison
  • 同じくOS名だが GCC4.8.2でコンパイルされ、SMP(Symetricマルチコア並列処理)が有効化されている
  • プロセッサ情報)
sshでwifi経由でEdisonに接続

最後のprocessor情報をみると2 core のsilivermot 500MHz が乗っていた。bogo mips は998.4 -- BogoMips ではマルチコア分も積算されている模様) つまりSDカード大きさで1000 MIPS。

DRAM 1GB, ストレージ4GB... 私が大学院の頃は巨大で何千万円もしたVAX11 780が1MIPSだったので....隔世の感がある。

shutdown)
root@edison:~# shutdown -h now

を実行。ssh接続は速攻で切れて、Macのscreenコマンドで繋いでいたシリアルコンソールでは、以下の画面がでる。
shutdown時のコンソール画面
CPUは無事haltして、ベース基板のLEDも消える。
が、screenで繋いでいるコンソールのUSBデバイスが「USB接続が不正に切り離されました」とエラーをだすので若干気持ち悪い。

おまけMicroviewとの関係)
MicroviewはSparkfun https://www.sparkfun.com/と言う会社が製造販売している。
Sparkfunのロゴ


Microviewを立ち上げると、上記の会社のロゴにある炎のマークが表示される。
Microviewのサイト: http://learn.microview.io/

IDF showcase中央のEdisonブースでは、この会社が展示していて、この炎のマークがあったのでピンと来た。説明員に「kickstarterで買ったmicroviewが最近やって来たけれど、あれって良いよね」と言ったら、この説明員がmicroview SDKの一部を担当したらしく、彼も嬉しそうで話しが弾んだ。

前述のようにEdisonでも、I/OボードではSparkfunが大量にArduino用に作成している周辺デバイスに対応していると思われ、Arduinoの SDK、I/Oライブラリを使って開発を容易化しているのだろう。IntelもArduino向けI/Oボードの品揃えが豊富なSparkfunと組むの有効だと考えたのだろう。

組み込みとかIoT、いやサーバの部門でも、ソフトやらSDKの共用化は進んでいる。開発が大変だし、使う側での勉強する手間も省ける効能もある。エコシステムとかオープン化といわれる潮流である。

一つ使って環境を知っておけば、IoT業界で話が弾むきっかけになるかもしれない。

2014年6月16日月曜日

Stanford大の第123回Commencement(卒業式)に行ってきた


6/15(日)に行われたStanford大の第123回、Commencement(卒業式)を見学してきた。

プログラム: 左が全体式典、右がCSの式典
wiki: http://ja.wikipedia.org/wiki/スタンフォード大学 にあるように初代学長David Starr Jordanが就任したのが、1891年で、それに123を足すと、2014年になる。つまり、毎年欠かさず、卒業式が行われている。。皆、割と任期が長いので、2000年から学長をやっているJohn Hennessyで10代目である。。

  1. 9:30AM- Stanford Football Studiumで行われた全体の式典 (8:30頃に車はGraduate School of Businessの駐車場に駐めた。空いていた。Studiumの駐車場はすでに満車)
    1. 会場前で、式典プログラムと水を配っていた
    2. 入場式:学部生はコスプレ(コスチューム)大会、院生は普通
    3. 開会の辞
    4. Microsoft創立者のBill Gatesと奧さんのMelinda Gatesの式辞:
       Optimism が大事。そしてやることを見付けたらEmphasisが大事。
    5. 学位授与の宣言
    6. Hennessy学長の祝辞(米国大統領になったHoovar の話)
    7. 芝生に降りて、写真撮影とか、Stanford Jass Workshop Commencement Ensembleの演奏とチアリーディング
  2. 昼食: CS(Computer Science) のCommencement の会場に向かう途中。Aligera Armuni Center前で、食べ物を配っていた。CSのCommencement会場でもサンドイッチを配っていたが、もはやベジしか残っていなかった。
  3. 12:30- Frost Amphitheaterで行われたCSのCommencement。
    1. 学部長 Jennifer Widomの開会の辞
    2. 学位記 (Diploma)の授与: カメラマンがいて写真を撮影
    3. Jenniferによる閉会の辞
心配事)
Bill & Melinda Gatesは式辞で、「Optimismが大事」といったが、3つ悲観的なコメントを書く。

1. StanfordのCSは、どんどん人数が増えて卒業者は10年前の4倍。日本では電気やコンピュータは企業の不振もあって低人気だったようですが、それでは差が広まるのでは。

2. CSの学部授与式で中国・インド・アラブ系の苗字は沢山よばれたのに日系の苗字は1人のみ、別にStanfordだけが海外の大学じゃないのですが、日本に閉じこもっていなければよいが。

3. CSのPhD授与者は28人。CSには毎年1500人以上がPhDに応募しているとPhDの募集webに書かれている。が、卒業者はこれだけ、日本は無競争に近かったと思うが、大学教員として後身を育てたり主要な研究機関に所属するなど重要な役目を担うPhDが無競争なのと、激しい競争があるのでは、結果が違ってくるのでは。。

写真とコメント)
Studium入り口にプログラムが山積み
Studium入り口では水も無料で配っていた。2本もらってきた。
このあと、知り合いの日本人にも会った。
9:00頃に着席したので、下段に席が取れた

最近、Campus Drive等の街灯にかざってあった、桐の家紋のような旗(右列下から2番目)は、Stanfordの大学旗だったとは。。


学部生入場。コスプレ。しょっぱな当たりで、水着にガウンなんてのも。。

京都大学の卒業式はコスプレでビックリ http://matome.naver.jp/odai/2139562743642558901 「【衝撃】ヤバすぎる!京都大学の卒業式コスプレ画像まとめ2014 #KU卒業式 #京大卒業式」だと思ったら、Stanfordの方が上を行っているかも。写真は、下に、続く。。

まだまだ出てくる学部生のコスプレ。
まだまだ続くコスプレ
まだまだ続くコスプレ。スタンドの家族・来賓は総立ちで大歓声。のんきなものである。

まだまだ続く
頭にヤシのハッパをつけた、ダンサーみたいなコスプレ女性も卒業生。。

次は院生。厳粛な音楽が流れ、コスプレもなく整然と入場
次に、来賓と教授達が入場し、最後に、学長のJohn Hennssyと公演するBill & Melinda Gatesが入場。来賓達同様、大回りして、客席のまえを手を振りながら通っていった。。
会場では、レモネードとポップコーンも販売。店員は列に入れないので、端っこの人までが協力して、お金と商品を搬送。


John Hennessy学長の挨拶の冒頭で、お父さんに感謝Happy Farther's Dayといって、会場は大いに沸いた。
Bill & Melinda Gatesの式辞
MIPS RISCの発案者で名著Quantitative Approach :http://amzn.to/1p84yzc の著者(和訳は、http://amzn.to/1p84DTK )でも知られるComputer Scienceの大御所 John HennessyとBill Gatesという2人がおさまった貴重な写真。



2005年には、YouTube: http://youtu.be/XQB3H6I8t_4 (日本語字幕付き) にあるように、ありし日のAppleのSteve Jobsが、John Hennessyの前で、Commencementの式辞を述べている。以下が、その埋め込み画像。




Bill Gatesらの式辞も、そのうちYouTubeに上がると思う。BillとMelindaが交互に式辞をしゃべったが、概要は、

  1. Melinda: Some people call you Nurds, but it's a pride. : 「君たちのことを、Nurds (オタク)というかもしれないが、誇りに思ってほしい。」コスプレしている学生が大受け。
  2. Optimism (楽観主義が大事)
  3. アフリカを訪問して多くの子供がマラリアで死んでいることに気づき、MDR-TBなどのワクチンを接種するシステムを作った。最初は生存率が50%にしかならなかったが、その後、80%を越えた。
  4. 未来について暗い予測をする人も居るが、問題点を列挙して嘆くよりも、直せることを直していけば問題は解決していく。
  5. 君たちは私達よりもっと上手にできる。
  6. 今すぐに動く必要は無いし急ぐ必要は無い。が、そのうち、しなければならないと思ったときに、力をいれてほしい。"Emphasis"が大事なのだ。 
Steve Jobsの式辞の概要やら彼の考え方は、以下にも書いた。

2011年10月6日木曜日: Steve Jobsよ安らかに眠れ


「Stay hungry, stay cool.」と独創を主張した2005年のJobsのtalkから、ほぼ10年が経って、今度は、「OptimismやEmphasis」による共創を主張していることが時代の流れを感じる。
世の中も、Open InnovationやStanfordのd-schoolなど共創が叫ばれている。
日本は、もともと共創が得意な国だと思う。2020年には東京オリンピックもある。
これから日本が世界に向けて発信して、再度、世界の工場と呼ばれるよう、Optimisticに頑張っていくことが大事なのかもしれない。

全体式典が終わり、芝生に降りて、ジャズセッションを聞いた。フットボール場の芝生は毛足が長くふわふわしていた

このスタジアムは、1994年のサッカーワールドカップ米国大会 ( 
http://ja.wikipedia.org/wiki/1994_FIFAワールドカップ )の時に、ブラジル人の友人に誘われ、ブラジル戦を観戦した。奇しくも、そこに2014年ワールドカップ日本-コートジボアール戦(惜しくも敗退したが)の翌日に降り立つとは。。
この試合は、多分予選のブラジル-カメルーン戦。ロマーリオがゴールを決め快勝した。そしてブラジルは優勝した。この験を担ぎで今回の日本も登り調子になればよいのだが。。
移動する途中、Aligera Almuni Centerの前で無料で配られていた。フルーツやグラノラや水。
午後に行われたComputer Science (CS)の学位授与式: 学部長 Jenniferの開会の辞
去年までは、CSのあるGates Computer Scienceビルの裏の芝生で行っていたが、CSは、10年前の4倍に人数が増え、Human biologyについで、Stanford大で2番目に大きな学部になった。入りきらなくなったので、今年から (フーバタワー/Memorial Auditorium裏の) Frost Amphitheaterに会場を移したとのこと。確かに、学位記が膨大量ある。。

他にJenniferの開会の辞から。
  1. Computer Scienceは発見の為の貴重なツールになっている。このため、全学の授業としても学ぶ学生が多い。CS106Aは伝説の授業である。(Prof.  Mehran SahamiによるProgramming Methodologyの授業であり、 http://bit.ly/1kWVRIW のようなOnline学習のサイトもある。GitHub http://bit.ly/1p87cVT にもでている。膨大な学生が受講すると有名なもの。)
  2. 自分は親に、「大学の先生がいいよ」といわれて先生になった。実は、Jenniferの息子さんもStanfordにいる。
  3. 女性の比率は25%と低いが、全米平均の15%よりは高い。
この後、BS, MS, PhD 全員の名前をよび、プロカメラマンが写真を撮りつつ、学位を授与した。BS,MSの学生の名前を読み上げたのは、先の伝説の授業のProf. Mehran Sahami 。
日本と違うのは、優秀な学生には賞をあげて徹底的に引き立てること。まずawardの表彰をして、学位記を与えるときにも、名前のあとで、再度受賞について述べる。
「できるヤツはできる」(悔しかったら、ガンバってみろ!!)というのが米国の強さ、米国の学生がよく勉強する根本なのかもしれない。終身雇用で頑張らなくても一緒という雰囲気の会社とは差がついて当然である。

残念なのは、MSやPhDには、中国人・インド人の名前が沢山あるが、日本人の苗字はたったの一人であったこと。

米国にいる日系人が、学費が高い私学のStanfordを避けているのかもしれないが、日本から海外にでてCSを学ぶひとが減っているのではなかろうか。。 

以下PhDの学位授与。全体のCommencementのプログラムにも授与者のリストがあったが、2013/9/26, 2014/1/9, 2014/4/9, 2014/6/15といろいろな時期に授与され、卒業している。
私のいる研究室の学生も2013末と2014頭に2人PhDを授与され卒業しているが、一人はシアトルのMicrosoft Research, もうひとりはスイスのGoogle Researchにいるので、さすがに今回のCommencementには出席していなかった。事前に連絡がついているのか、居ない人で名前を呼ばれたのは、Masterで数人だけであった。

以下、PhDの学位授与。アドバイザがHooder (フードを掛ける人?) になりHoodを掛けてもらう。

Prof. David Mazières http://www.scs.stanford.edu/~dm/ にHoodを掛けてもらうPhD学生(かれはGoogleに就職したはず..)   Prof. DavidはMIT卒なので、ガウンがMIT http://bit.ly/1kWWvpOのもの。こういうところも統一しないで、あえて多様性を残すのが米国それも西海岸っぽい。

Computer Graphics/Computational PhotographyのProf. Marc Levoy http://graphics.stanford.edu/~levoy/ は、CommencementでもGoogle Glassをつけたまま。
Prof. JohnがHooderとしてPhD学生にHoodをかける。

自分がアドバイザになっているPhD学生が卒業しない先生は、式典には出席していなかった。たとえば、Prof. Bill Dallyとか。。逆にいうと、PhDの学生は、このHooderの任のために、アドバイザの先生を日曜に貸し切りにしているということである。

後日聞いた、Prof. Johnの雑談。「Hoodarは晴れがましい。首を通す穴じゃないところに、首を通すと失敗するので、やるほうも緊張する。以前、悲惨な失敗をみた、入れる穴も確認せず、フードの向きも確認せずつけた(教授がいた..)ので、フードは学生のお腹側に垂れ下がり(つまりよだれかけのようになり)、見るも哀れだった。」と。。

今回の卒業式でPhDを授与されたのは28人。Stanford CSのPhDには毎年、1500人を越える応募があるということなので、PhDには、それだけの価値があるのだろう。

ほぼ全入状態といわれる日本の大学の博士課程。そこから大学の先生やら重要な研究者をだしていくだけに、世界から希望者があつまって競争が激しくなるように工夫が必要なのではなかろうか。。