関連リンク)
2012年12月10日月曜日: XHose: 画期的なホース (おまけ: FacebookとGoogleの差)
にイノベーションの例を挙げた。
2012年9月6日木曜日: 家電と自動車の違い
に書いたように、日本の電気産業やIT企業は破壊的イノベーションに対応しきれず、コストカットでジリ貧になっていったように思う。
一方で、以下のように日本には強い産業も沢山ある。
2012年11月5日月曜日: 日本の強い産業: Toray
2012年11月5日月曜日: 日本の製造業を苦しめる円高の本当の理由
思考停止して、不調の原因をすべて外部要因に押しつけ、コストカットだけしていたら、勝てない。すくなくとも、外貨を稼いでいる企業もあるわけである。
以下に書いたような、受験戦争による間違った競争主義も原因かもしれない。
2012年10月12日金曜日: 日本の産業が活性化しないのはナゼか?
また、以下に書いたような、低賃金を武器に最近騎馬民族文化の大陸の文化に対抗しようと、日本の美徳を失っているところもあろう。
2012年12月7日金曜日: 騎馬民族文化と農耕文化
どう進むか)
- 大きなイノベーションはあきらめて、とことん改良技術にかける。これは、空気が読めて、実直で、こつこつやれる日本文化がまさに得意とするところである。先に書いたように、相手のことを考えない大陸文化ではついてはこれない。
- 破壊的なイノベーションにより、濡れ手に粟の大きな利益を、手っ取り早く得る。
つまり、おいしい思いをしたければ、2に行きたくなる。また、破壊的変化が激しくおきるような分野では、どうしても破壊的イノベーションに対応しないとならない。
イノベーションの例)
大きなイノベーションが起きる分野は急速に技術進化していき、技術やマーケットアイディアで競争する分野である。急速に技術進化しそうなところは、
- ソフトウェア
- 半導体
- 素材
- 医薬
- システム構築、政治システム
などであろう。どれも日本は遅れていそうである。化学や鉄鋼は、日本が極めて進んでいるので、理由をさぐってみたい。
ソフトウェアの例)
電気機器は以下のような変化をたどってきた。テレビを例にとると。
- アナログの時代
- 真空管
- トランジスタ
- IC
- ディジタルの時代
- 専用IC(ハイブリッドICから、モノリシックIC)
- 組み込みプロセッサによるソフトウェア制御
- ネットワークの時代
- YouTube, Ustream, Akamai
- クラウドに通信で双方行接続
- モバイル端末への移行。どこでも、いつでも、蓄積したものを見る
- データセンター処理の時代
- Big data, 広告連動による様々なソフトの無料化
- OSS(オープンソースソフト化)激しい進化
日本のテレビ産業は2.1まではついてきたが、ソフトウェアになってから、進化の速度、搭載機能の自由度が高まり、技術を理解して取捨選択しきれなくなり失敗してきたように思う。たとえば、東京でJ:COMを導入したのだが、以下のような例がある。
- 初代のHDRというレコーダは、韓国の会社の製品。光ドライブもついておらず、機能は少なく、記録できる時間も短いが動作は快適で、重宝していた。
- 2代目がでたので切り替えた。これは日本のパイオニアの製品。録画時間も延び、Blue Rayのまるちドライブもついた。が、全く使えない。理由は、肝心なところが未完成であるから。。以下に例をあげる。不要なものばかりつけて、必要なところが貧弱では、売れるわけがない。
- 動作が遅すぎる。起動が遅い、メニューがでるのがきわめて遅い
- 必要な機能がない。録画中に予約ができない、録画中に不要な番組が消せない
老人化)
日本の産業が、なぜイノベーションできないか。それは老人化にあると思う。歳をとったことが老人ではなくて、以下のようなメンタリティの人が老人だと思う。そして、そういう老人化した人間が決定権をもつようになると、企業は回らなくなる。
- 自分の経験(過去の成功)でのみ判断する。ステレオタイプにはめる
- 他人、特に目下の意見は聞かない。
- 新たなことを学ぼうとしない。ググることすらしない。固定ソースの情報(某新聞とか業界紙)の情報を絶対だと信じている
- 視野が狭い(たとえば、国際化というだけで、海外企業が海外の雇用者をどう採用しているかすら調べない。当然、海外事情など知ろうともしない)
- よけいな口出しをする
- 素直になれない。言い訳をつけて、いいのがれをする。たとえば、会社の不調を外部要因にするのも、この一つに思える。自分の思いどおりにならないと、不機嫌になる。
- 他人に厳しく、自分に甘い
日本は、特に年功序列(というか、年齢序列)が浸透しているので、老人化は避けられない。が、決定権を持つ人間が老人化していては、変化が激しい時代に正しい選択はできない。
さらには、以下に書いたように余計な口出しをして(これも過去の成功体験でしか見ないので、他人が失敗するのを許容できないのだと思う)、権限移譲しないと、ますます判断を見誤る。
2012年7月8日日曜日: トップダウンと権限委譲
原因は明確だし、対策の道は見えているので、あとはやるだけだと思う。
方法論)
- 老人化した人間は容易には若者化しない。若者の考え方をもつ人は、新たな企業を作り新たな組織を立ち上げ、破壊的なイノベーションを目指す。
- 老人化した人たちは、破壊的な変化が起きない、改良型の産業で生き残りをはかる。有望なのは大きな進化をしない改良型の部品産業である。
正のスパイラル)
に書いたように、ベンチャーが成功すれば、そこが、次の投資を生み出す。ベンチャー成功者なら見る目があるので、大きな賭けもしてくれる。また、教育機関にも投資をするので、正のスパイラルが回り始めると思う。