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60万アクセスまでの経過

2009年12月に始めた本blog。2011年7月ごろに10万アクセスを達成し、2011年12月13日には15万アクセスを達成。
その後、私も更新しておらず、アクセスは少し減りましたが、3月1日には18万アクセス。2012/4/18に20万アクセス、2012/8/21に25万アクセス、2013/1/18に30万アクセス、2013/12/17に40万アクセスを達成しました。しばらく見ていなかったら、2015/5/1に50万2584アクセスになっていました。またまた、しばらく更新しないうちに、2017/6/11に60万7197アクセスになっていました。2018/7/7 .. おお七夕 .. には63万0656アクセスになっていました。久しぶりに更新しました。

2012年2月11日土曜日

コンピュータが知性を持つのは近いか..

去る2012年1月14日の第一回電王戦(日本将棋連盟、 ドワンゴ、中央公論新社主催)で、コンピュータ将棋 ボンクラーズが、元名人で日本将棋連盟会長の米長邦雄永世棋聖に平手で対戦した。7時間におよぶ激戦の上、コンピュータが勝った。webでも話題になり、記事が沢山掲載され、いろいろ議論がある。

電王戦)  http://blog.livedoor.jp/ibuki_commercial/archives/2161485.html には、以下のようにある。
米長会長は詰将棋を解くなどのトレーニングを積み、ボンクラーズと何度も対戦して 対策を立てて臨んだが、及ばなかった。昨年12月の前哨戦でも、ボンクラーズに インターネット上の早指し対局で敗れている。現役の棋士はこれまで、公の場で 将棋ソフトに負けたことはない。棋士とは別の「女流棋士」のトップクラスは昨年、 ソフトに敗れた。
電王戦は、近年急速に伸びている将棋ソフトの実力を試すために企画された。 ボンクラーズは昨年5月のコンピュータ将棋選手権で優勝。第2回電王戦は来年1月、 現役棋士の船江恒平四段と将棋ソフトの代表が対局する。
そこで、なるべく先入観なく、この背景にある人間と機械の情報処理の違いを分析して、コンピュータと知性について考えてみたい。

ちなみに私は、テレビの将棋番組は好きであるが、将棋は全く弱い。囲碁は、ルールや簡単な定跡は分かるが、プロの対戦を見ても、どちらが優勢かすら分からない局面が多い。そういう将棋素人の分析なので、間違いがあればご指摘願いたい。

対局の詳しい説明) http://bit.ly/yhZ0i NHKでも放映された模様であるし、NHKオンラインでの視聴も可能らしい。

こういうことである。
  1. コンピュータの指し手を分析し、未知の指し手で攪乱させようと、永世棋聖が作戦を立てて臨んだ。その結果でたのは、初手を受けての「後手 米長永世棋聖 『6二玉』」。前代未聞の指し手。そのあと、序盤から入玉を狙っていく。永世棋聖は、「(コンピュータは、あえて)最善でないことをやりますからね。はめ手とか奇をてらうとか、って受けとられることもありますけどね。手がいくつもある局面に導く問題を複雑化するということですね」と、お見事な分析
  2. この作戦が功を奏し、序盤は、ボンクラーズが攪乱される
  3. 対局が始まって2時間。ここでボンクラーズは奇妙な動きを見せ始めた。攻撃の要である飛車を右や左に動かすだけ。米長 邦雄永世棋聖「あれは単に行ったり来たりしているというよりも(ボンクラーズは)、私が襲いかかるのを待ってカウンターパンチを狙っているという指し方だったんですね。きわめて実践的な指し方で、私が挑発に乗ってくるのを待っていたということですね」
  4. 42手目、ボンクラーズは永世棋聖の指し手を6四銀と予測する。その後も永世棋聖の指し手を正確に予測
  5. 永世棋聖は72手目。遠くの金を玉に引き寄せた。これが勝負の流れを変えた。金を動かしたことで角の道が閉ざされ、守りに使えなくなった瞬間をついたとプロ棋士は指摘する
  6. 7時間に及ぶ対局。ついにコンピューターが元名人を打ち負かした
米長 邦雄永世棋聖: 「(ボンクラーズは)私が間違うのをジーッと手待ちしているわけですよね そういう点では(『昭和の大名人』と言われた)大山康晴と指したという感じ」

棋士 船江 恒平四段: 「(ボンクラーズが)非常に圧巻というか、本当にぜんぜん悪いところがひとつもなかった」

3に関しては、冒頭のリンクには、こうある。
不利な局面でも、じっとチャンスを待つボンクラーズ。
そこには人間の知性に近づこうとするコンピューターの技術革新がありました。それは人間の思考に近づける画期的なプログラム、機械学習です。
ボンクラーズにはプロの対局を中心に江戸時代から現在までの5万局に及ぶ対局データが入力されています。
ボンクラーズは、これらのデータを単に記憶するのではありません。
プロ棋士が、どんな手を指したときに有利になったのかを膨大なデータから分析し優れた指し方の原則を見つけ出します。
その原則を高い計算能力を武器にみずから次々と増やし、未知の局面でも応用できる能力を身につけました。
いわばコンピューターが自分で学習するのです。
wikiから)
ボンクラーズ: http://bit.ly/yVTOXt
ボンクラーズは、コンピュータ将棋選手権で優勝経験のある将棋プログラム「Bonanza」(ボナンザ)をベースとし、6台のサーバを並列処理させる(クラスタ)ことで、高速演算を可能としている。「ボンクラーズ」という名称は、「ボナンザ」と「クラスタ」を組み合わせて名付けられた。
ボンクラーズは、富士通研所属の伊藤英紀 氏が開発し2010年に大会に初登場してから、富士通の人たちの協力も得つつ改良を続けてきたらしい。
 http://nikkan-spa.jp/129925
 http://bit.ly/yVTOXt
開発者 伊藤英紀氏のblogはこちら http://aleag.cocolog-nifty.com/blog/
ボナンザ (Bonanza)  フリーソフト: http://ja.wikipedia.org/wiki/Bonanza
2005年6月にver.1.0が公開。その棋力の高さは公開直後から渡辺明がブログで「プロが平手で餌食になった」「奨励会有段者クラスがコロコロ負けているらしい」とたびたび話題にし、渡辺自身も「10秒将棋だと10回に1、2回はやられる」と告白した[4]。また、コンピュータらしくない人間らしい自然な手を指すとの評が確立した。
メジャーアップデートされたver.2.0は2006年5月に行われた第16回世界コンピュータ将棋選手権大会にBonanzaとして初出場し、初優勝という鮮烈なデビューを飾る。既に草創期を脱し強豪ソフトが固定化されてきた中の初出場初優勝、ノートパソコンでの優勝、フリーウェアの優勝という三重の「初づくし」は、コンピュータ将棋界に巨大な衝撃を与えた。 作者は公開当時カナダ在住だった日本人の化学者保木邦仁。作成当時は将棋についてはほとんど知らないことも話題となった。後に発行した本では、自らの棋力を「11級」と評した
(中略)
 チェスがベースであるため[11]、開発当初は終盤の詰将棋のルーチンが搭載されておらず、詰める状況でも相手の駒をとり続けていた。2007年の世界コンピュータ将棋選手権からは、3手詰めのルーチンが搭載された。他のソフトでは最初から詰将棋専用のルーチンを用意しており、後で組み込んだBonanzaが特殊である。
(中略)
これは保木の本業である化学反応の制御理論を応用したものである(26ページ)。保木自身の棋力ではコンピュータを強くする設定を行うことができず、既存の機械学習で成果を上げたプログラムがなかったため、制御理論をもとに自作することにしたという。
(中略 )
ソースコードは公開されているものの、営利目的での利用が禁止されているなど制限があるため、Open Source Initiative の定めるオープンソースでもなければ、フリーソフトウェアでもない。
このソースコードの公開・共有という思想が、この分野の進化を早めたと考えている。ここにも注目したい。

また、チェスで人間を負かした、IBMのディープ・ブル=は、かなり大きいが、ボンクラーズは上記写真のように、ちょっと大きいが、持ち運べるサイズである。
冒頭のリンクには、
ディープ・ブルーは考えうるすべての手を読み進め、未来の局面に点数をつけて評価。
その中で、最も点数が高い局面につながる次の一手を選んでいました。
いわば、計算能力の高さにものを言わせ力ずくで人間をねじ伏せたのです。
しかし、この方法は将棋では通用せずプロ棋士の足元にも及びませんでした。
将棋の盤はチェスよりも広くさらに敵から奪った駒を自分の駒として使えます。そのため、考えられる局面が圧倒的に多いのです。
その数はチェスが10の120乗。
これに対して将棋は桁が100個も多い10の220乗の局面が存在します。
その奥深さから81マスの宇宙といわれる将棋。
スーパーコンピューターでもすべての局面を読み切ることは不可能なのです。
とある。これがこのサイズのコンピュータで、できてしまった。以下で述べる処理手法の革新がここにあった。

知性とは)
一般的に、知性とは他の動物と人間を違わせるもの。すなわち人間らしさと言われている。もちろん、将棋が強いことを、知性とは定義しない。

知性1) システム論:  http://bit.ly/wdY7Q4  の冒頭にある説明である。

もうすこし具体的に考えると様々な解釈に分かれてくる。動物と人間の違いは、沢山あるからである。

知性2) コトバンク:  http://bit.ly/xUMSLM
  1. 物事を知り、考え、判断する能力。人間の、知的作用を営む能力。
  2. 比較・抽象・概念化・判断・推理などの機能によって、感覚的所与を認識にまでつくりあげる精神的能力。
知性3) Yahoo知恵袋: http://bit.ly/wEulAk
「知識」は事実を知る蓄積です。「知性」は理論や応用です。
たとえば、石から機械が創れる事を知るプロセスが「知識」それをどのように創り、利用するのかが「知性」だと考えます。
知性4) 前頭連合野: http://brain-science.jp/brain02.index.html

知性2と知性3の2つでも、すでに認識が若干分かれている。以下のようになるであろうか。コトバンクの定義は、定義がループしている。辞書によくあるパターンである。認識とは何かが定義されていない。が、認識を引くと、「物事は何か」を知ることとある。この定義を使う。
  1. 認識し知識に変換する能力  (コトバンクの定義)
  2. 知識を利用する能力 (Yahoo知恵袋の定義) - これは曖昧
  3. 衝動に動かされず、5感から集まってきた情報を整理・統合・理解し、様々な価値判断や意思決定をし、順序よく段取りを取って物事を遂行し、人間らしい社会生活を営む能力 (前頭連合野の説明から要約) - これも概念が広すぎるので以下に変換する
  4. 衝動に動かされず行動する能力
  5. 段取りを取って物事を遂行する能力
  6. 発想し、新たな社会・技術を創造する能力 (私の定義)
  7. 人間関係のネットワークを創発させる能力。人間らしい心、すなわち、時として、目的の為に自己犠牲を払うような決断をする能力。 (システム論の定義, 3にも含まれている) 「相手の気持ちを推しはかって考える」、これを、対集団に広げた「空気を読む」能力もこれに含まれる。
以下では、1, 4あたりの能力をまとめ、点の思考ないしは、「局面に対策する知性」(定義は後述)と考え、6の能力を「創造する知性」と考えて区別したい。私は、文化、文明を創造してきた能力こそ、動物と人間を最大に区別する人間らしさ、知性だと考えている。

システム論には、知性の発生要因、ネアンデルタール人(ホモ・ハビリス)と現代人(ホモ・サピエンス・サピエンス)の差について述べられている。道具の利用、言語能力などを例にとって比較している。これらを持っていた、ネアンデルタール人が現代人になぜ滅ぼされたのか。。それは、発達した前頭連合野(いわゆる前頭葉を含む部分)にあるとし、その顕著な能力が、7の人間社会の人間のネットワークを作る能力だとしている。

その点では、企業内で経営者と現場がいがみ合い、政治と国民が意思疎通できず、国際社会で国同士が敵対しあっている状況では、人間に知性があるとは言えないかも知れない。
ただし、犬でも主人に奉仕したり、自己犠牲的な行動を取るように思う。犬の方が人間より知性が高いとなっては困る。。。(少々脱線しました。。orz...)

(この章は、Facebookに投稿して、得られたコメントに従い2012/2/12に追記した。対話(議論)は重要である。SNS(Social Network Service)の利用価値は高い。)

背景の解説)
冒頭に触れた http://bit.ly/yhZ0i3 にある専門家 電気通信大学 伊藤先生のコメントが、非常に的確な指摘だと思う。
  • 人間は、分析して、作戦を練って臨む - ある意味、線で考える
    • 膨大な経験に基づいて自然と表れるような知識というものを大局観と呼ぶ
  • コンピュータは、いまだに局面を分析する点の思考
    • 実は人間はいろんなたくさんの評価項目を持っているわけで、それを全部機械に教えるというのは、非常に難しいが、それを非常にうまい形で調整して、プロに近いような局面、評価ができるような知識を身につけることができた
絵にしてみるとこういうことになる。青丸が自分の局面。左から右へ進むとする。
知性とは線の思考が最低限必要では

線の思考は、将棋の例でいえば、「こういう筋書きで攻めてやろう」対して、「相手は、こういう事を考えているんだな。裏をかいてやろう」である。社会生活での「空気を読む」能力もこれに近いかも知れない。

点の思考でも、知性的な動作ともいえる。「局面に対策する知性」である。人間でも点の思考=現状分析をして、臨機応変な対応をするのは相当大変である。今の分析方式を応用するだけでも、十分に役に立つ。医療診断、事故診断など、ある程度のレベルにある専門家なら簡単に凌駕しそうである。

だが本当の知性「創造する知性」にするには、線の思考にもっていく必要があると思う。
もちろん、もっと足らない部分があるかもしれない。新発想に至るとか、イノベーションを起こすとかに、何が必要なのであろうか。間違えることが必要だと、昔、言った方もいた。いずれにしろ、大局観は、人間のような新発想の想起に、重要な役割を果たしていると思う。

そこに至る道は簡単ではないかもしれない。だが、Bonanzaで一気に新方式に流れが変わったのを見ると、分野横断的なクリエィティブなアイディアであっけなく達成されてしまうかも知れない。

人間の脳は、進化によって淘汰されてはいるが、所詮、分子機械である。暴力的な規模の効果による質としての見え方の差があるだけで、意外とシンプルな原理で動いているかもしれない。今回のボンクラーズの指し手の人間らしさをみると、そのように感じてしまう。

コンピュータ将棋の文献から)
2006年の情報処理学会45回の記念大会 http://bit.ly/wbVFVg で、コンピュータ将棋と人間との対戦の企画に参加した。2006/3/8に実施され、松原先生らのご努力で大変よい企画が実現した。おりしも、米長永世棋聖が、プロとコンピュータ将棋の勝手な対戦を禁止する通達を出した直後であった。通達については、http://bit.ly/weyRkm に、以下のようにある。
2005年9月には、プロ棋士で北陸先端科学技術大学院大学教授を務める飯田弘之のチームが開発したコンピュータ将棋ソフト「TACOS」が同じくプロ棋士の橋本崇載とイベントで平手の対局。結果は橋本の勝ちとなったが、TACOS は橋本を敗北寸前まで追いつめた[11]。この事態を重く見た日本将棋連盟は、2005年10月に全棋士と女流棋士に通達を出し、連盟に無断で公の場でコンピュータ将棋と対局しないこととした。
記念大会当日は、2005年世界コンピュータ将棋大会で優勝した激指しと、2005年アマ竜王 の清水上 さんが対局した。対局は清水上さんが中盤から優位に駒をすすめ圧勝となった。その後のパネル で、清水上さん松原先生、伊藤先生、島八段、激指開発者 鶴岡先生 によるパネルを拝聴した。このときも中盤の激指しの疑問手に関して、大局観の重要性が話題になった。コンピュータは序盤は定跡で指せて、終盤は読み切りができるが、大局観がないので中盤で決定的に不利になる。大局観が大事だ、どうしたら出てくるのか、という議論もされていた。ボナンザが将棋大会で初出場初優勝し話題になったのが2006年5月、ほんの少し前であった。
ところが、今回、ボンクラーズは大局観無しで、難しい中盤で人間らしい指し手を実現してしまった。

松原先生編著の「コンピュータ将棋の進歩 2」1998年5月初版。http://amzn.to/yXe6CY
の最後の章で、当時東京農工大の小谷教授が1998年の視点で以下(要約)のように書いている。
松原氏や私は2010年頃にはコンピュータ将棋は名人の強さになるといってきた。そのために9年間の間に次の技術進歩が必要である。
  1. 64倍速くなるコンピュータ
  2. ハードウェアを含めたコンピュータチェス技術を完全に習得
  3. さらに20数倍速くする技術を要する
上記を、Pentium II 300MHzをベースに予測している。

intel Pentium II: http://en.wikipedia.org/wiki/Pentium_II  333MHz 1 コア, 3命令同時発行out of order
intel core i7: http://ja.wikipedia.org/wiki/Intel_Core_i7  3.2GHz 6コア, 4命令同時発行 out of order

先のwikiの情報を勘案すると、ボンクラーズは6 socket (おそらく?)のクラスタである。命令レベル並列はあまり向上しないと考えると、ハードウェア性能は単純計算で、3200/333 * 6 * 6 = 345倍になったことになる。もちろん並列化ロスもあろう。現に、先の情報処理学会大会当時の激指しは、徹底的に探索空間の絞り込みをかけているので2 倍前後しか並列加速が出せないと聞いたように思う。
それを無視して考えると、1の予測よりもかなり早い。当時の予想が64*20=1,280倍の性能ということなので、4倍分を、3に相当する計算手法で性能向上したとも考えられる。
計算過程の予測は多少違うが、9年での進歩の予測はほぼ当たり、2010年ではなく2012年に、プロ、それも永世棋聖を打ち負かした。達見である。
これらの方々が、今後の大局観への進歩について、どう予想されているのか、興味がある。

CPUの速度向上は、以下リンク内に挙げたグラフのように、その後、2003年に熱問題が発生し、クロック向上から、マルチコアの時代になっている。

ビッグデータ解析)
今の将棋の新方式が、脚光を浴びつつあるbig data analysisである。が注意したいのは、Map Reduce (オープン版がHadoop) にしても、Bonanzaにしても5年以上前の技術である。それが、実証されて着目されたということ。
具体的には、先の将棋、Googleの自動走行車、IBMのクイズ番組(Jeopardyを解くプログラム Watoson : http://www-03.ibm.com/innovation/us/watson/index.html  ),

軍事応用など) http://bit.ly/AmgYOi
ソーシャルメディアの解析) http://ventureclef.com/blog2/?p=1374

米国でこうやって実証されたのをみて、ようやく日本も最近注目しだした。それはそれで流行であろうが、米国ではすでに実証された技術である。
今からやって、先端を走る人に追いつけるのか。。先端の人はもう、次を見ているのではなかろうか。

私が、もし、この分野をやるなら、大局観の分析とかをやりたいと思う。それが基礎研究であり、投資である。

危険への対処)
知性のあるコンピュータをインターネットにつなぐだけでも、かなり恐ろしい。
銀行でも政府機関でも外部サポートによるシステム障害への遠隔メンテの効率化のために、メインコンピュータは電話回線など外部回線に繋がるポートをもっているらしい。もちろん回線番号は秘密だろうし、パスワードなどで強力に保護されている。だが、高い知性と人間を遙かに超える計算能力があれば、以下のようなことができる。
  1. インターネットにつなぎ、Skype等を経由して電話やFaxに発信する。Skype等のアカウントも当然ハックして無料で入りこむ
  2. 回線番号を探し出す
  3. パスワードなどを解読する
  4. データセンターや銀行や政府、特に軍のコンピュータをコントロールする
軍や銀行は、外部の管理回線を廃止すればよい。が、データセンターいわゆるクラウドは、本質的にインターネットでサービスをしているので切り離せない。ここにSPAMやウィルスをばらまくだけでも社会生活は相当に混乱する。今後クラウドへの依存度がますます高まるので、影響度はますます無視できなくなる。

映画TerminatorでSkynetが人類に牙をむく世界になりかねない。絶対の安全策を施す必要がある。だからといって、人間社会を豊かにする可能性のある技術の開発を止めろとなるのは、短絡している。技術には長短が必ずあるので、短所を恐れていてはなにもできない。長所を伸ばし、短所を補うのが科学技術力である。(以下でも触れているように、最近の日本や米国はこの能力が低下しているように思う。)

2012年1月2日月曜日: Hoover Damのダム湖は巨大、三峡ダムの発電量も - 世界レベルは違う。が黒4ダム時代の日本は技術立国だった


原発事故をみても技術者や政府は独りよがりに陥りやすい。多くの人たちと対話して危険を事前に察知する必要があると思う。

従来の発想との違い)
従来、「知性は脳の並列処理によって生まれる。コンピュータは逐次処理なので知性には至れない」と、しばしば、いわれていた。
なので、第五世代コンピュータ国家プロジェクトでのPrologによる並列の記号パターンマッチング(unification, backtrack) や、その後のニューラルネットとかの研究があったと思う。だが、どうも本質ではなく、知性らしい動きには至っていない。ニューラルネットで実現できたことは、結局信号処理の適応フィルタという既存技術の発展系にとどまっている。

ニューラルネットと関連技術の詳細解説と適応フィルタへの応用) http://bit.ly/yqGyYv

ところが、今回のボンクラーズの原理、「大量の知識を整理統合する」という、並列処理とは関係ない方式のイノベーションが、永世棋聖に、「(『昭和の大名人』と言われた)大山康晴と指したという感じ」といわせるような、人間らしい指し手を生んだように思う。

私は、ここに従来的な構造を真似る発想の限界を感じている。何がイノベーティブなやり方かを列挙してみた。
  1. 原理の本質と、出来ていることの因果関係を説明する
  2. 装置の技術進化を理解し、やりたいことを深く考察した上で、新手法を創造する
  3. 他の分野で有効であった手法を拡張し適用する
http://ja.wikipedia.org/wiki/Bonanza には、このようにある。
(Bonanzaの)これらの特徴はコンピュータ将棋の過去の蓄積を知らなかったために実現したことであって、日本にいて情報が入ってくる環境であれば、個人が1年で完成させることは不可能であったと述べている。
既存常識(知識)が、イノベーションすなわち新発想を妨げる可能性を示唆している。

この章は、Facebookに投稿して、得られたコメントに従い2012/2/12に追記した。むしろ専門家でない方の、素朴な疑問に答えることが、このような考察につながった。
良く専門家は、「シロートが。。」と馬鹿にするし、一般の方は、「私どもシロートが」と引いてしまう。だか、誰とでも真摯に話し合うことが、イノベーションには大事なのではなかろうか。

発想法つづき)
(大分脱線してきたので、そのうち別記事に分ける。。)
前節の発想法は、新しいことではない。パラメトロンの発明者で知られる故 後藤英一 東京大学名誉教授が、以前、量子パラメトロンの発想に関して学会誌か新聞記事かなにかで以下のように述べていた。(googleを探しても、裏付け情報は見つかっていない)
新発想がでたときは、関連文献の調査はしない。まず数日じっくりと考える。それから文献を調査する。
後藤英一) http://bit.ly/zAXrrW
パラメトロン) http://bit.ly/xqeTHJ
ある外国人研究者から、「私はこの分野で後藤という名前の日本人を3人知っている。パラメトロンの後藤、ゴトーペアの後藤、磁気モノポールの後藤。お前はそのうちのどれか?」と尋ねられたため、「そのすべてだ」と答えたという。
とあるように、後藤先生の研究の範囲も広い。Hash法、Lispコンパイラ、多項式の乗算の高速アルゴリズムなどにわたる。

また、川合先生の「後藤先生の御退官に寄せて」http://bit.ly/xYsxGW 
のなかでも、以下のようにある。
他人が余り注意を払わない現象などの中に、本質的かつ有用な要素を見定めたことによる成果であるものが数多くあります。天才的な研究者の「感」と呼べるものだと思います。
また、境界領域に答えが落ちていることも注目したい。「専門でないから。。」と、興味深い新技術を見落としたら、イノベーションは生まれない。インターネットで調べれば30分もかからないことが多い。

そのためには時間管理能力が重要だと思う。米国でもイノベーティブな人は、時間の使い方が大変上手く、常に余裕の時間を生み出している。以下に書いた。(私の場合には、趣味とは言え、余計なことに興味をさき過ぎていると思うが。。)
2011年11月24日木曜日: 老害、エセエリートの害、本当のエリートとは
時間管理ができないと、新発想やこれからのビジネスに一番大事な、コミュニケーションに時間を割くことも出来なくなるように思う。
2012年2月2日木曜日: リーダの条件 の中で、http://bit.ly/xYuhvt に考察した。
状態量の爆発に着目したい)
とかくコンピュータは、計算速度の向上に着目しがちだが、実際に変化をもたらすのは記憶容量の増大にあると考えている。特に、状態量は、指数で効くので、爆発的な増大をもたらし、それが質的な変化に繋がると考える。もちろん、記憶容量が増えれば、計算速度の向上も必要になるが、それは、線形にしか増えない。
一方で、状態量の爆発を利用した、アルゴリズムの改善を行えば、処理量は一気に指数オーダで増える可能性がある。以下に書いた。

2011年12月16日金曜日:LSIの進化の貢献は速度ではなく記憶容量にこそある


ハードウェアにばかり注目しないで、アルゴリズムにも注目したい。現に、UC Berkeleyではそういう研究が始まって、成果を出している。

Jim Demmel) http://www.cs.berkeley.edu/~demmel/ である。
Hot Chips 2011に彼が招待され講演しておられた。私はLunchで近くに座り歓談してきた。
GPUで、今使われている力業の陽解法から、効率のよい陰解法への脱皮。Auto Tuneというパラメータ自動チューニングの応用など、筋の良さそうなアイディアを沢山研究し、成果を結びつつあるようであった。

蛇足) HotChipsの運営は画期的である)
Jim Demmelのような方をCPUやLSI設計の学会に招待するHot Chipsの運営委員の先見性には恐れ入る。イノベーションにおける、境界領域、分野横断の重要性を認識している。

ひとつ付け加えると、Hot Chips23 (2011夏)の学会資料、プレゼンのvideoは2011/12月から無料でだれにでも公開されている。

http://www.hotchips.org/conference-archives/hot-chips-23 である。

金を払った人は鮮度を手に入れて、しばらくしたら、学問の発展の為に一般公開する。高額な研究情報の流布が問題になったりしているが、寛大な発想も、科学技術発展の為には必要なのではなかろうか。。企業や政府も学会に資金援助すれば、学術情報提供側も低コストな情報提供が可能になるであろう。

政府の予算はハコモノばかりに流れがちである。
本当の競争力である、「情報」にも投資すべきだと思う。

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