では、地震をカオスと決め付けていた。が、根拠とする研究成果や論文も特に見つかっておらず、必ずしもそうだとは断言しきれない。本稿では、別な角度から、もうすこし公正な立場で考察してみることにする。
地震が起こった後でいつも地震雲を見たとか聞く、が、地震雲をみて地震が予知できたとはなかなか聞かない。
これは、条件付確率 P(A|B) = Bが起たという条件下で、Aが起きる確率を考えると良くわかる。
参考) http://ja.wikipedia.org/wiki/条件付確率
もうすこし明白な例として、Bを、「なまずが騒いだ」とすることにする。
I. 「A: 地震がおきた、B: なまずが騒いだ」 すなわち、なまずが騒いだあと地震が起きる確率は、
P(地震がおきた|なまずが騒いだ) = 0.0001 くらいになるかもしれない。つまり、なまずは他の原因でも騒ぐことがあるからである。
一方、
II. 「A:: 地震の前になまずが騒いでいた, B地震がおきた」とすると、
P(なまずが騒いでいた|地震が起きた) = 0.9 かもしれない。
I が予知であり、IIが後付である。予知の難しさがわかる。つまり後付けはあたるが、予知には使いにくいということである。
予知をするには、予知に関連する本当の現象を、かく乱要因から除外しないとならないのである。
似たような誤解は、世の中の不思議現象には、たくさんあると思う。
ギャンブルもそうだが、数学的にちょっと解析すれば、簡単な誤解に気づくことが多い。
2012年2月11日土曜日: 確率を理解すればサギにひっかからない。
に書いた。
地震予知)
では、地震予知に話を戻すと、日本のプレート型の地震は、地殻にひずみが蓄積され、それがはじけることで起きるといわれている。
ここにはいくつかの難しさがある。
- プレートのモデルがあるのか。- 地殻の構造は不均質。モデル化できているのか。
- ひずみの蓄積量が測れるのか。
- 仮に測定技術が進歩したとして、ひずみによる地盤の破綻の予兆がわかったときに、それから地震予知ができるのか。
1,2から、ひずみ耐性の破綻時期=地震を予測するのは難しそうに思う。最近の研究では、「アスペリティ」というのが判明してきており、プレートはするするとすべる部分と、うまく滑らないでひずみが蓄積される部分(固着域)とがあるらしい。
アスペリティ) http://ja.wikipedia.org/wiki/アスペリティ
どうも、根拠とする1のモデル自体もまだまだ検討中なのかもしれない
2については、その100年間で固着域に均質にひずみが蓄積されるとすれば解決するかもしれないが、固着域がどれだけ存在するのか、いつ固着かどうか判明するのか、一旦固着域になったら、大地震までずっと固着域なのか。。など、これまた、議論をしだすと終わらなくなりそうである。
では、もうすこしやさしそうな3が可能か考えてみることにする。
アスペリティ) http://ja.wikipedia.org/wiki/アスペリティ
どうも、根拠とする1のモデル自体もまだまだ検討中なのかもしれない
2については、その100年間で固着域に均質にひずみが蓄積されるとすれば解決するかもしれないが、固着域がどれだけ存在するのか、いつ固着かどうか判明するのか、一旦固着域になったら、大地震までずっと固着域なのか。。など、これまた、議論をしだすと終わらなくなりそうである。
では、もうすこしやさしそうな3が可能か考えてみることにする。
ここで疑問なのは、
- 日本ではほぼ毎日数回起きているM1(マグネチュード 1)からM2程度の微弱地震と、大地震の予兆と区別できるのか。。
- かりに、予兆が予知できたとして、予兆から本震までの間が十分に離れそうなのか。
1は専門でないのでわからない。2について考えてみたい。地殻が完璧にモデルできたとして、豆腐とか割り箸のようなものだと考える。(実際には、豆腐や割り箸のように均質なものではなく、アスペリティでも示されるように、非常に不均質な構造であると思う。)
予兆は、割り箸の場合、ピキピキという折れ始めの音になろう。では、次のどれがいえるのだろうか。
予兆は、割り箸の場合、ピキピキという折れ始めの音になろう。では、次のどれがいえるのだろうか。
- 1分で割り箸を曲げていったときに、ピキピキが始まってから、仮に0.5秒でバキッと折れたとする。
- では、100年かけて曲げていったら、ピキピキとパキの間は、1日とか1週間に延びるのだろうか。。
2がいえるなら、地震予知は可能と期待される。これは以下のようにして簡単に実験できるので、地震研究者の方には、ぜひ実験して、予知の可能性を見通してもらいたい。webには、すでに類似の実験結果が掲載されているのかもしれない。
- 割り箸ないしは、豆腐を用いて、ひずみを与えていく。
- ひずみの与え方を1秒、10秒、1分、1時間、1日、1週間 とだんだんゆっくりにしていく。
- ピキピキとバキの間の時間を測定して、上記2のひずみの与え方の速度との関係をグラフにする。
- 上記グラフを外挿(グラフを延長)して、予想される大地震の間隔である、50年とか100年かけてひずみを与えたときに、ピキからの猶予がどれくらいになるのか、予想できる。グラフは対数軸(片対数か両対数かは、両方書いてみれば傾向がわかるだろう)にすれば良いので、さほど大きなグラフ用紙は必要がないと思われる。
この結果、ピキとバキの猶予が、やっぱり数秒しかないとしたら、破綻は結構ドラステッィク(カオス的)に起きるのだと予想され、地震予知はかなり困難だと結論できそうである。その場合には、他の方法論を考えたほうがよさそうである。