というものがあった。http://amba.to/14ANxEj
「実験無しで理科が学べるのか!」という主張である。
私は、もっとレベルの高いところを目指して欲しいと思っている。
米国の公立高校では)
シリコンバレーの公立高にLynbrook High School http://www.lhs.fuhsd.org/ という高校がある。学区に住んでいれば試験もなく誰でもいけるのだが、教育熱心なインド人や中国人たちが集まってきていて、親ぐるみで勉強に一生懸命である。
シリコンバレーの高校ランキングは公開されており、以下に書いた。
2012年6月4日月曜日:n 米国こそ学歴社会である
また以下の後半でも若干触れている。
2013年1月11日金曜日: トンチンカンな高校ランキング
そこでの生物の課題で、「バクテリアはどう役に立つのか、実験で検証して、レポートせよ」というものがあった。それを、英語が全然分からない状態で日本からやってきて1年の、中2の生徒がやっていた。それを、いただいたので掲載しつつ、考察してみたい。
ちなみに、米国カリフォルニア州Bay Areaは、5,3,4制で、10月始まりなので、日本の中2の10月でHigh Schoolになる。彼は、High Schoool入学直後というわけである。
科学するとは、どういうことか)
日本のロケットの父であり、東大教授であった故 糸川英夫博士 (wiki: http://bit.ly/1c7So5r ) がいっていたらしい。
http://blogs.yahoo.co.jp/echq96/49646043.html にも少しある。
- 地球は太陽の回りを回っているというのは、観察してみようではなくて、教えればよい。
- それよりも、その事実を発見したガリレオたちが、歴史上どう扱われたかを教えるのが科学である。
- それにより、科学することの本質がわかる。
私が理解した点を加筆しながら、以下にまとめると。科学することとは、
- 身の回りにあることから仮説をたてる
- 過去の事例を調査する
- 実験する
- 発信して多くの人に認めてもらう。ただし、ここで、追試により他の人も同じ結果が得られることで、真実と認められる。従って、報告は反復可能であるための情報が記載されていないとならない。
- 分かったと思っていることも実は仮説に過ぎない。後日、間違いが発見されるかもしれない。
日本の理科の先生で、上記について教えている先生がどれだけいるのだろうか。
それ以前に、単に知識の詰め込みをやっているだけではなかろうか。
そのほか糸川英夫の発想については、http://blog.goo.ne.jp/cqad/e/1f3a6f6a2db1b60885964dfb82e2064e に、おもしろい記事がある。(段落が切ってなくて大変読みにくいが、書かれている内容は興味深い。)
5については、ほとんどの人が真実と信じていること、教科書に出ていることでも間違いはある。例えば、舌の味覚地図 http://note.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/n1835 は、長い間世界中の教科書にでていたようだが、最近、間違いであったことが見つかっている。
似たような例では、惑星の定義も最近変わり(「矮惑星」があまりに沢山みつかるので...)、冥王星が太陽系の惑星から外されている。
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0608/25/news025.html
米国での教育は)
以下に、その中2の学生のレポートを引用してみたい。ポイントは、
- これだけ英語を書くのは大変である
- 先生の要求がかなり高く、学会論文レベルの報告体裁を要求している。つまり
- 概要
- イントロ
- 関連手法と実験手法の調査
- 実験結果
- 考察
- 結論
- 参考文献
- 補足
- 文系の学会の標準の論文フォーマット、参考文献引用のフォーマット(作法)であるMLAフォーマットに準拠するように指示がある。(ちょっとやり過ぎだが、覚えていれば役に立つ。)
- 実験自体は、学校での授業時間にやった。
よく、「海外に行けば英語が上手くなってイイネ。」という方がいるが、本当に英語漬けで毎日しごかれているのだから上手くなって当然である。ノンビリご褒美研修で米国にいても英語は全然上手くならない。
MLAフォーマットは文系の論文での標準的な参考文献のリファーの仕方であり、これについては、
http://owl.english.purdue.edu/owl/resource/747/01/
MLAフォーマットは文系の論文での標準的な参考文献のリファーの仕方であり、これについては、
http://owl.english.purdue.edu/owl/resource/747/01/
や、
に紹介がある。
結果、彼は親の支援も得つつ、1週間以上かけてレポートを作成して提出したものの、やりなおしを要求された。そこですごいのが、「何をやり直すべきかも、自分で考えろ」といわれたこと。。さすがに、これは本人もわからないので、詳しい人に教えてもらい、実験方法の説明が不十分で、これでは追試検証ができないことだと気づいたらしい。
この先生、Lynbrook高校出の若い女の先生だが、Stanford大の生物の修士課程をでているらしく、Non-Nativeの中学生に対してはさすがにやり過ぎだと思う。
また、学習指導要綱がないので、日本と違って、先生は自分の興味があるものばかりを教える傾向がある。それぞれ違った学校において、英語のreadingでは難しい論評ばかりを読ませたり、米国史ではケネディ暗殺ばかり調べさせたりということがあったと聞いた。
このBioの先生も、バクテリア、細菌、酵母などの有用性と、それらの菌の殺菌という観点での実験やレポートが多かったようである。
Lynbrook高校には、英語writingの先生とか、ちょっとやり過ぎと思えるような宿題を出す先生が多い。が、米国の高校生はこうやってモーレツに勉強しているので、うかうかしていると日本は勝てない。
また、学習指導要綱がないので、日本と違って、先生は自分の興味があるものばかりを教える傾向がある。それぞれ違った学校において、英語のreadingでは難しい論評ばかりを読ませたり、米国史ではケネディ暗殺ばかり調べさせたりということがあったと聞いた。
このBioの先生も、バクテリア、細菌、酵母などの有用性と、それらの菌の殺菌という観点での実験やレポートが多かったようである。
Lynbrook高校には、英語writingの先生とか、ちょっとやり過ぎと思えるような宿題を出す先生が多い。が、米国の高校生はこうやってモーレツに勉強しているので、うかうかしていると日本は勝てない。
Non-Nativeの英語教育)
シリコンバレーがあるカリフォルニア州サンフランシスコ周辺のベイエリアでは、non-native学生は、ELD (English Language Development) http://www.k12.wa.us/MigrantBilingual/ELD.aspx というプログラムにはいる。
レベルがキッチリと決まっており、ELD1, ELD2, ELD3と順番に上がっていく。
ELD1の間は、英語(reading, writing, 他) と体育の授業しか取れない。どうせ、英語がわからなければ、何をやっても無駄ということだろう。一日中英語漬け。
それでも、最初の1年はあまり上達しない。
しかし、学生の資質にもよるが、1年をこすと、どっと成果がでてきて、映画も理解できるし、まともなレポートが書けるようになるらしい。実際、一緒に映画を見に行ったときに、あとから、分からなかったところを教えてもらうことも結構あった。
ここでの教訓は、
- なにごとにも近道はない
- じっくりと腰を据えていないと結果は得られない
ということである。
作成開始直後のレポートを引用する)
最終のレポートの体裁の中に、指示文が入ったwordファイルが先生から渡される。それを少しずつ直し初めている途中のものなので、まだ指示文が埋まったところが沢山ある。
課題は、バクテリア(単細胞生物)に関して調べ、役に立つバクテリアを実験で確かめるというもの。アルファルファに窒素固定効果のある根粒バクテリアを作用させたものと、無いものを対称実験した。実験結果は、根に関してはバクテリアのある方が長く延びたが、葉に関してはバクテリアがない方が数が多かった。
葉に関する結果が予想と反しているので、関連情報をインターネット等で調べ、理論つけて考察するのに苦慮していたようである。下に引用したものでは、まだ書かれていないが、最終的には、考察していた。
以下のAbstructは、先生の指示文のままである。