1. Appleは、従来互換(レガシー)を破壊することで、価値を提供してきた会社
2. Microsoftは、従来互換(レガシー)を堅持することで、価値を提供してきた会社
私は、Appleのやり方のほうがずいぶん賢いと思うし、それが多くのファンを呼び込んだ理由だと思う。独断と偏見に満ちているが、以下に、分析してみる。
Appleのやり方)
- 守るべきものは、UI(使い勝手である)、一方ファイル構造、既存デバイスなどは、そのうち淘汰されるので、全くこだわらない。ハードウェアに関して例をあげると
- iMACでフロッピーを廃した。RS232C, パラレルポートも廃止、すべてUSBに移行
- IBMPCではいまだに標準であるアナログDVIポートを廃したのもMacが最初
- MacBook Airでは、ディジタルDVIをも取りやめて、Thunderboltsに移行している。有線のEthernetポートも廃止。HDDもやめてSSDになっている
- ソフトウェアに関して例をあげると
- iTunesのデータ構造は、毎度入れ替わる。iTunesを更新すると、管理データ構造が更新される
- iPhone等のOSアップデートでは、データを保持して更新ということはしない。まっさらの状態にアップデートして、iTunesからデータを再転送する。これにより、過去の遺産とは決別でき、常に最適なデータ構造をiPhoneに構築できる
- 一方、UIは基本的に従来のものを維持している
- iPhoneアプリも共通性を保つために、UIの設計ガイドラインが示されており。ユーザの使い勝手を重視している
- ネットワークからのアプリの自動インストール、Appstoreの概念をiPhoneからMacにも広げ、アプリの自動更新が可能になっている。これを進めていけば、新しいOS機能の導入を阻害する、レガシアプリを市場から追放するのが容易になる
- iPodに始まり、iPhone、iPadの構造は、Apple自らの収益構造である、Mac(PC)の市場を破壊するものである
- マイクロソフトほどではないが、やり方は強引である
- 以降に沿わないアプリは公式アプリとして認めない。ただし、これは、著作権侵害・暴力・性的アプリの除外の効果がある
- GoogleがAndroidを出したら、Google Calenderと、iPhoneのカレンダーの同期をできなくした模様。以前はいくつか抜け道があったが、現在は、SnapCal等の公式アプリか、脱獄アプリの同期ツールで可能
マイクロソフトのやり方)
- 過去のデバイスをサポートすることを最優先とする
- 過去のソフト資産が動くことを最優先とする
- これは、そろそろ限界のようで、win7では、古いアプリが互換モードでないと動かなかったりする
- win8の新UIである、Tablet風のMetroは、専用対応したアプリしか起動できない。が、これはRegistoryも使っていない模様
- 一方、UIの統一性にはこだわらない
- Microsoft wordは、毎度、ユーザインターフェースが変わる。どこに何があるかすらわからなくなる
- 一方で、図表が勝手に移動したりするし、行間は任意に設定できなかったり、ページ番号を、目次ページを飛ばしてはじめるなど、普通に必要なことがどうしてもできない。wordで、論文や長い文章を書くのは、自殺行為だと思う。
- 技術を正常に進化させられない
- Excel, Visio, IEなどMicrosoftに買収された技術は多いが、買収されたあとには正常に進化させられない
- winNT, winXP, VISTAは、micro kernelをベースとしたunixの系譜なのであるが、registoryや、dllなど、悪趣味な設計のものを導入している。unixは、textベースで、ツールをパイプでつないで管理できるところに美しさがある。
それを、registoryのようにバイナリファイルで意味不明のデータベースにしてしまっており、エントリの消去について考えていないので、ゴミがたまって不正動作の元凶になっている。また、dllについても、unixにはshared objectや、それを管理する機構があるのに対して、アプリがユーザレベルでdllをインストールする機構を導入してしまったため、アプリとdllの依存関係が解決できず、一旦インストールしたdllは消せなくなってしまう。つまり、ベースとしたunixの美意識を消化できていない。これは、その後の.net等の導入で、ますます不可解になっている。
Kernel本体をいじれる技術が無かったとか、windows NTでDEC VAX VMSの特許を回避しなければならなかったのではとか、諸説ありそうだが。。 - デバイスドライバに関しても、認証のシステムがいまだに上手く動いていないので、ドライバ依存のOSの不安定性を解決できていない。この背景には、非常に古いレガシデバイスのサポートを打ち切れないところに起因しているかもしれない
- MS-IMEがどんどん劣化している。明らかに開発元が使っていない。ATOKをベンチマークして欲しい。献花が顕花に変換され、何度やっても学習しない。顕花植物でしか使わないのに。天地真理も天知真理に誤変換されう。MS-IMEを使っていたら誤字から逃れられない。JUSTシステムは赤字に苦しんでいるらしい。良い物を作っているので助けてあげませんか。月300円で、スマホ、IBM-PC, Macなど複数にインストールできる。Google変換でも良いのですが、ATOK Passportができたので、是非。ATOKは賢いですよ〜。http://www.justsystems.com/jp/products/atok_passport/
少なくとも高ビーなMicrosoftと違って30日間の無料試用ができる。インストールも簡単。 - おそらくは、Microsoftは、主力をデータセンターやサーバー向けに割いているように思う。windows8もサーバ向けの機能が充実している。MacOS-Xなどで、OSの価格はタダになりつつあり、所詮コンシューマ向けの利益は薄いと読んでいるのかもしれない
- Microsoftは、NASのプロトコルであるSMB2.2をInfiniband上に実装しており、これが耐障害性も高く、高性能で非常に高い完成度である。ストレージ関係の学会でも、Microsoftはサーバ向け用途で公演しており、こちらに主力を割いているようにも思える。
- が、この管理ツールでは、妙なグラフィックインターフェースになっていたり、コマンドラインからコマンドを打ち込んだり。若干、センスの悪さが顔をのぞかせているようにも思うが。。。
- インターネットブラウザの可能性を見抜けなかった。Netscapeが、Microsoftの市場を脅かしてきて、強引にInternet Explorerを無料で提供することで、市場を確保したが、Internet Explorerの投入はかなり遅かった。Bill Gatesのやり方は、技術的というよりもかなり強引なところがある。
- IBMがPC業界に乗り出したときに、CP/M側の失策に乗じ、CP/Mをまるっきりまねした、PC-DOSで不動の地位を築いた
- 初代Macintoshがでたあと、まるっきりマネの windows3.1を出した。が、あまりにお粗末で、windows95になるまで、ほとんど使い物にはならなかった。このあとwindows98もお粗末。別系統のwindowsNTはまともだったが、結局、windowsXPで若干進化したものの、VISTAは重過ぎて使えず、ようやくwindows7でなんとかなっている次第。
- windows8だが、これも、ごった煮でなんだかわからない。Tablet風のMetroというUIがある。動画が表示されるiconは一見面白いが、アイコンというにはあまりにサイズが巨大であり、デザイン的にも無骨。一画面に10個も表示できないので、スクロールするのも大変だし、folderにまとめる機能もない。結局、従来のメニューバーや、検索から使うことになるのだろうか。。。相変わらず、ユーザの使い勝手(User Experience) まで想定できていないようにも思う。
Windows8) http://ja.wikipedia.org/wiki/Microsoft_Windows_8
Appleは、根底に流れる美意識があり、製品もユーザ体験(User Experience) 向上にフォーカスがあるように思う。これが、マイクロソフトにはファンがいないが、AppleやSteve Jobsには強い愛好者がいる理由だと思う。
マイクロソフトと仕事をした人がぼそっと言ったらしい、「マイクロソフトの技術者は、みんなプライドが高く、プライドで仕事をしているとああなるんじゃないか。。」と。
何か便利なものを、お客に届けたいっていうんじゃないのかなぁ。。。
以上をまとめると、マイクロソフトは、技術の探求が開発の原動力であり、ユーザが何を欲しているか十分理解していないのかもしれない。だが、別の説もある。
- 全体をまとめる良いリーダがいるかどうか
- リーダの意思がうまく伝わる組織になっているか
http://applembp.blogspot.com/2011/06/apple-google-facebook-microsoft.html より。
上記は、本記事を読まれた方から教えていただいた。(公開・議論するのは、良いことである。。新しい発見がある!!)
優良企業の各社は、かならずしも、トップダウンだけではないし、純粋な階層構造でもない。
マイクロソフトには組織の壁=組織の対立構造がある。(組織の壁をなくすのは、本当大変なことで、昨今事業の調子のよいIntelは非常に良く管理されているが、それでも、将来のビジョンには組織ごとに多少食い違いがある。たとえば、不揮発メモリにかける期待度など。。)
マイクロソフトでも、上記のSMB2.2で予想したように、どうやらサーバ部門は非常に上手く回っているようである。ここには技術がちゃんとわかる、とても良いリーダがいると、詳しい方がおっしゃっていた。
結局、Jobsのように、全体を俯瞰して、グラウンドデザインを示す人が必要なのであろう。少々飛躍するが、これは、太平洋戦争の失敗でも、Apollo13の帰還の成功「Failure is not our option」でも、福島原発のまずい処置にも、当てはまるように思う。
後追いトヨタが、細部まで非常に整合したポリシー「燃費の向上、次世代を担う革新性」を持つ、プリウスを作れた背景にも、良いリーダがいるのではなかろうか。
日本のIT業界は、どちらかというと、マイクロソフト的なのではなかろうか。。。トヨタのプリウスは全く違う、システムとして全体を俯瞰した設計思想が感じられる。トヨタのみならず、自動車会社は、世界屈指だけあって、クリエイティブで強い製品を出しつつけている。ユニクロ、ダイソー、自転車部品のシマノも世界的に強いと思う。リーダを育てる教育は、どうあるべきなのだろうか。。
米国には、ベンチャーを伸ばす良いリーダがいて、ベンチャーキャピタルがリーダを提供する。技術を考案した創始者は、社長ではなく技術リーダ(CTO)になることが多い。こういうリーダとなる人材は、幾多の失敗を通して育つように思う。米国では会社をたくさんつぶした(もっとも、上手にであるが..)人の方が重用されるとも聞く。一方、日本では、会社をつぶした人は再起不能だとも聞く。。
本来、どうあるべきなのか、既成概念を捨てて、よくよく考えてみる必要があろう。
これについては、以下に続きを書いた(移動した)ので、ご笑覧いただければ幸いである。
2011年10月15日土曜日: 思考停止していませんか? 変な舶来志向?