2011年5月25日水曜日: トヨタのプリウスは本当に凄い車です (各種プリウス考察を総括)
プリウスのシフトポジションと挙動)
高速を走行して挙動を調べた。表にまとめる。
アクセルを思い切り踏み込めば、ノーマルモードでもエンジンは5,000回転ぐらいにはなる。パワーモードとは、アクセルレスポンスを敏感にする違いのようにも思う。
ただし、プリウスのエンジン音は関心しない。ミラーサイクルエンジンで、高効率なのかもしれないが、5,000回転ぐらい回すと「ぶーぶー」という感じであり、ここちよいエンジン音ではない。これに比べると、以前乗っていた日産U11ブルーバードのCA18DETというターボエンジンは、名作だったと思う。シルビアや180SXにも使われたエンジンである。高速道路で踏み込むと、ターボが効いて一気に160km/hくらいまで気持ちよく加速するのである。エンジン音も良かった。この頃までは、つまらないので、マニュアルシフトしか運転しなかったのだが。。
Bポジションで走行すると燃費が極端に悪化する)
シフトレバーをBポジション(エンジンブレーキを利かす設定=通常のオートマでの2ndとローを兼ねる)にすると、PowerModeであるかどうかに関係なく、アクセルを離すと制動する。回生限界を超える制動をかけようとするのか、多くの場合にはエンジンブレーキとなりエンジンの回転があがる。特に高速では顕著だが、信号で低速になっても、エンジンは止まらない。
Kiwiを使ったタコメータをみていると、この様子がわかる。ところが、現行プリウス(ZVW30)では、信号停止等でハイブリッドインジケータではエンジンからのエネルギー流はとまったように見えていても、OBDを使ったタコメータでは、エンジンは1,000回転ぐらいで回り続けている。前記型では米国仕様と日本仕様で最大パワーすらちがったようだし、現行のプリウスもオプションの設定が、日米で、かなり違う。米国仕様だけの問題なのかもしれない。
低速になってそのまま信号で停止しても、駐車して、パーキングブレーキにいれてしばらくしても、エンジンは回り続けている。SOC(充電量)がほぼ満充電でも関係が無い。シフトをPに入れるとエンジンは止まる。場合によっては、フットブレーキを踏んで、停まっているのに、ハイブリッドメータの表示上は、ブレーキで停止しているのにモータから車軸に駆動がいっている=クリープしていると表示されることもある。KiwiからのOBD情報が間違っているわけではなく。耳を澄ますと確かにエンジンが動いている。
Bポジションでは、減速時にエンジンブレーキをかけている。おそらく、そのためにエンジンを止めるタイミングを逃して、ECU(中央コンピュータはエンジン停止だと思い、ハイブリッドメータに表示しているものの、実際にはエンジンがアイドリングストップせずに、回りつづけているのではないかと思う。
Bポジションだと回生の効率が上がるし、油圧ブレーキを最後の最後まで使わないとあったがこれが本当なのかは怪しい。ちょっと記述はわかりにくいが以下のようなサイトもある。
Bレンジ(ポジション)で回生量が減る、は勘違い!?)
Bレンジの使い方の口コミ情報) こちらは、いい加減な情報も多いですが。。
なので、燃費があがると思いきや、燃費はかなり悪化する。Dポジション(通常のドライブポジション)にすれば、信号のかなり前から、エンジンは止まるし、もちろん停車中、発進直後はエンジンは動かない。
とにかくBポジションは、坂道での減速等のみで、あまり使わない想定だとすると、停車時については、あまりテストもしてない可能性があり、バグがあってもおかしくはない。
制御系が壊れたと思い、ディーラに点検を予約したのだが、いろいろ試してみた結果、上記のようなことがわかった次第である。ディーラにキャンセルを入れたときに、上記を説明したら、「通常運転中にBポジションに入れたらだめだよ。」といわれただけ。ハイブリッドインジケータと、実際の動作が食い違っているのだが、バグだとは思わなかった模様。
さらに坂道で、信号でエンジンをアイドリングストップさせるのに、Dポジションに毎度もどさないとならないのも不自然である。やはり、あえてBポジションのバグと呼びたい。
Dポジションに戻しての燃費の向上)
通勤に際して、従来は、Bポジションで44Mile/Galon=17km/L 程度だったのだが、Dポジションにし、さらにパワーモードを外しておとなしく運転したらなんと、56Mile/Galon=24km/Lに燃費が向上した。フロリダ旅行時にレンタカーで高速巡航したCivic 1.8L (2010型)の燃費が12km/Lなので、なんと燃費が倍である。フロリダはほとんど平坦なのに対し、当地は上り下りが多く、回生失効しかつエンジンを相当回さないとならないi280という不利な条件なのにである。平坦な高速巡航でのプリウスのエンジンは1,000RPM程度。平坦地なら相当燃費がよくなるはずである。今回は、回生を効かせるように、ハイブリッドインジケータをエコ運転表示モードにして観察しつつ、減速時の充電計(Charge)が振り切れないように、早めに軽くフットブレーキを踏むようにした。
学内は25mile/h=40km/h制限で、Stopも多いのだが、学内は逆にEV走行するので、燃費が向上するのである。また、立体駐車場内もEV走行なので、燃費が向上する。Bポジションだとエンジンが動きっぱなしで燃費は悪化していた。夕方帰宅時には高速は渋滞するが、これもEVモードなので、燃費は逆に向上する。燃費が悪化するのは、むしろ高速の登りで無理に加速する時である。
一般道でも流れていると、燃費は52MPG(Mile/Galon, 1MPG=0.425km/L)ぐらいしか行かない。ところが渋滞すると58MPGくらいまでいく。渋滞すると燃費が良くなるのは、速度が上がると急激に増大する空気抵抗やタイヤの転がり摩擦が、低速の走行で低減するからだと思う。この改善のため、プリウスのボディは徹底的に空力を改善し、CD値0.25を達成し、北米仕様車の最低グレードのPrius IIは、Bridgestoneの195/65R15 89SのECOPIA EP20という低転がり摩擦抵抗のエコタイヤを履いている。
通勤時に、上り下りのあるi280で事故があり、渋滞していた。平均速度は25km/h以下。通常だと、110km/hの巡航で、ハイブリッドインジケータ(距離/給油量より燃費が良く出る傾向がある)では18km/L程度の燃費が表示されるのだが、このときは、高速の燃費が23km/Lくらいになり。さらに、高速を出た山道では、遅いトラックが前にいたため、EV走行が進み、学内での低速走行と立体駐車場内でのEV走行により、燃費はどんどん向上し、60.4 Mile/Galon = 25.7km/Lを記録した。
一般車の経済速度は80km/hといわれているのに、渋滞して発進停止を繰り返しても、低速走行したほうが燃費が向上するのは、さすがハイブリッドだと感心する。
暖機運転による燃料ロス)
唯一の問題は、始動時の暖機運転だろう。現行ZVW30型プリウスでは、廃棄熱回収や電動冷却水ポンプなどで、暖機の短縮を図っているのだが、やはり暖機は燃費ロスになる。暖機時には発電してNi-MH電池を充電しているように見えているが、基本的に暖機はエンジン負荷を軽くするはずなので、発電量も押さえているのかもしれない。これは、OBD利用のハイブリッドアナライザを作れば判明する。とにかく、下表にあるように燃費が悪化する。
PHV(プラグイン・ハイブリッド)になれば、EV走行中に軽負荷をかけてエンジン動力を活用しつつ暖機ができるのだろう。PHVであれば、暖房のためにエンジン冷却水をつかうこともないので、寒冷地で暖房のための暖機による燃料消費というのも無くなる。ヒートポンプになるのだろうか。いずれにしても、次世代プリウスでの革新に期待したい。
ちなみに計算してみた、片道25kmの通勤距離で、気温25度くらいなのに、駐車場で暖機をするとなんと走行に使った燃料の6%分に相当する燃料が消費されるようである。
通勤距離(片道) | 16.00 mile | 25.74 km |
暖機前燃費率 | 56.00 MPG | 23.80 km/L |
暖機前消費燃料 | 0.29 Galon | 1.08 L |
暖機後燃費率 | 53.00 MPG | 22.53 km/L |
暖機後消費燃料 | 0.30 Galon | 1.14 L |
暖機での燃料消費の割合 | 5.7 % | 5.7 % |
ただし、ZVW30のハイブリッドメータの燃料消費率表示はかなり誤差がある。走行距離と実際の給油量から計算した燃料消費率は、ハイブリッドメータ表示よりもだいぶ低めにでるようである。上記は、ハイブリッドメータ表示によるものである。
暖機時にも発電機(MG1)からNi-MHバッテリを充電しているはずだし、MG1,インバータ,Ni-MHバッテリの系の効率が悪いとも思えない。また、高速低負荷巡航時のエンジン回転が1,000RPMなのに対して、暖機時は1,300RPM程度。暖機時に低回転でエンジン効率が悪いとも思えない。発電量を抑えて軽い負荷にしている可能性と、暖機時に濃厚混合気にして燃費を悪化させている可能性がある。だとすると、暖機終了をまたずに走行し始めても、燃費はさほど向上しない。これも実験する価値がある。後日試したい。
エンジンの損失) http://www.nmri.go.jp/eng/khirata/stirling/docpaper/hyoukaj.html
エンジンオイルの低粘度化と摩擦損失の関係) http://www.geocities.jp/bequemereise/viscosity3.html
プリウスの場合、ごく低回転のエンジン非効率はEV走行で存在しないし、可変バルブとクールEGRで低回転側のロスが抑えられているので、エンジンを極力低回転にするように走るのがエコなのであろう。
ホンダインサイトのパラレルハイブリッドでは、走行中にはエンジンが止められないらしい。すなわちEVモードには、なれない。一方EVは、長距離走行時の電池消費にまだまだ難がある。トヨタのSeries Parallel Hybridは、とりあえずは、かなり良い解だと思う。
欲しい機能)
Dポジションでアクセルを完全に離しても、たしかに急な制動感はないが、少しだけは回生はしている。回生を増やしたければフットブレーキを踏むことになる。この挙動は、オートマ車と合わせるためなのかもしれないが、アクセルを全部離したら回生を強くかけて減速してくれた方がうれしい。高速で頻繁にブレーキを踏まなくてすむ。プリウスの後ろを走っていると、しょっちゅうブレーキを踏んでいるようだという友人もいる。
日産リーフは、特にエコモードでは、アクセルを離すと急速に回生し、ブレーキがかかる仕様になっているらしい。
http://ascii.jp/elem/000/000/643/643338/
リーフのモータは、80kW,最大トルク280Nm,最大回転10,390RPM。
一方現行プリウス ZVW30のモータは、60kW, 最大トルク207Nm, 最大回転13,900RPM。 これにエンジンのサポート、73kW, 最大トルク142Nmがついている。
リーフの加速感が3.0Lエンジンなみということからすると、プリウスの加速感が若干劣るのは、エコのための味付けだと思う。もっともアクセルをフルに踏み込めばエンジンは5,000RPMくらいになり、相当の加速感はある。
ホンダのインサイトはCVTなのに、ステアリングにパドルシフトがついている。パドルシフトはトランスミッションのギヤを変えるものなので、CVTでは本来いらないはず。
なのにあるのは、加速と減速をアクセルで自在にコントロールするためだと思う。プリウスにもハンドルに回生ボタンとかを導入したらいいかもしれない。
エンジンストップはどれくらいまで可能か)webでは35km/hまでEV走行するとあるのだが、これは駆動するときの話。
回生中にエンジンがとまるのは、最高37M/h = 59.2km/h だった。負荷条件にも
よるとは思うが。。だいたい60km/hを区切りにしている可能性がある。この速度を超えると回生ブレーキがかかっていても、エンジンは止まらず1,000RPM程度で回転し続ける。
平坦な高速では、車速を落とさない配慮かもしれないが、アクセルを全部離すのは、減速してほしいというドライバの意思表示なので、エンジンをとめて回生してもよいのではなかろうか。現に、i280でやや下りや、下り逆で、アクセルを完全に離すと多少回生するのだが、エンジンは1000RPMで回転し続けている。
なぜ、高速走行でエンジンを止めないのか、よく理解できていない。
すくなくとも、回生時にエンジンがとまる渋滞時には、燃費は58MPG(24km/L)ぐらいまで向上する。高速走行時も回生時はエンジンを止めた方が燃費が向上するのではなかろうか。
平坦な高速では、車速を落とさない配慮かもしれないが、アクセルを全部離すのは、減速してほしいというドライバの意思表示なので、エンジンをとめて回生してもよいのではなかろうか。現に、i280でやや下りや、下り逆で、アクセルを完全に離すと多少回生するのだが、エンジンは1000RPMで回転し続けている。
なぜ、高速走行でエンジンを止めないのか、よく理解できていない。
すくなくとも、回生時にエンジンがとまる渋滞時には、燃費は58MPG(24km/L)ぐらいまで向上する。高速走行時も回生時はエンジンを止めた方が燃費が向上するのではなかろうか。